ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

“Matterhorn”雑感(2)

ありゃ、Jennifer Egan の "A Visit from the Goon Squad " が、ロサンジェルス・タイムズ紙小説大賞(LA Times Book Prize for Fiction)も取ってしまった! これでピューリッツァー賞、全米批評家協会賞とあわせて3冠王。去年のアメリカ最大の話題作とい…

“Matterhorn”雑感(1)

世間は今日からゴールデン・ウィークだが、ぼくの連休は勤務先の都合で来週の火曜日から始まり、今日も出勤。それでも覚悟を決めて、Karl Marlantes の "Matterhorn" に取りかかった。なにしろ、Trade Paperback で活字がぎっしり詰まった600ページの大作だ…

Lucinda Riley の “Hothouse Flower”(2)

レビューや雑感ではいくつか気になる点も挙げたが、そもそもこれは息抜きをしようと思って取りかかった本なので、その目的がかなった今はとても満足している。あちらのベストセラー・リストをながめていると、タイトルとカバーから判断して、本書のように明…

Lucinda Riley の “Hothouse Flower”(1)

イギリスのベストセラー小説で Richard & Judy Book Club の今春の推薦図書、Lucinda Riley の "Hothouse Flower" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Hothouse Flower作者: Lucinda Riley出版社/メーカー: Michael Joseph発売日: 2011/04/26メディア:…

“Hothouse Flower”雑感(2)

今日もまずまず順調に読み進んだ。無我夢中というほどではないが、けっこう面白い。たぶんもう粗筋を書けないところまでたどり着いたのではないか。それゆえ、人物像や人物関係などでお茶を濁そうとも思ったが、本書を読みながらちょっと考えたことがあるの…

“Hothouse Flower”雑感(1)

今日の午後から本腰をいれて、Lucinda Riley の "Hothouse Flower" に取りかかった。今年の1月末、イギリスでベストセラーになっているのを知り入手したが、600ページ近い大長編なのでついあと回しにしてきた。たしか先日まで、現代小説部門でずっと100以内…

Jennifer Egan の “A Visit from the Goon Squad”(2)

最後まで読みおわっても結局、中盤に差しかかったときの印象はほとんど変わらなかった。雑感を書いたあと、今年のピューリッツァー賞が本書に決まったことを遅まきながら知り、全米批評家(書評家)協会賞とあわせてダブル受賞とはよっぽど傑作なんだろうな…

Jennifer Egan の “A Visit from the Goon Squad”(1)

今年のピューリッツァー賞、ならびに全米批評家(書評家)協会賞の受賞作、Jennifer Egan の "A Visit from the Goon Squad" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。(点数評価は後日)。A Visit from the Goon Squad作者: Jennifer Egan出版…

“A Visit from the Goon Squad”雑感

大変遅ればせながら、今年の全米批評家(書評家)協会賞受賞作、Jennifer Egan の "A Visit from the Goon Squad" に取りかかった。先月の受賞直後に注文したのに、なぜか今まで配本がずれ込んでいた。ペイパーバック・リーダーにはままあることで、え、今ご…

Beryl Bainbridge の “The Dressmaker”(2)

Beryl Bainbridge が昨年7月に物故したのを知ったのは、既報のとおり今年2月のこと。大変遅ればせながら、ささやかな追悼記事を書いた次第だが、この「ブッカー賞悲運の女王」の落選候補作のうち、4冊も読みのこしているのがずっと気になっていた。 そこ…

Beryl Bainbridge の “The Dressmaker”(1)

1973年のブッカー賞候補作、Beryl Bainbridge の "The Dressmaker" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Dressmaker: Shortlisted for the Booker Prize, 1973作者:Bainbridge, BerylAbacusAmazon[☆☆☆★★★] 衝撃の結末に愕然となり、…

Cynthia Ozick の “The Shawl”(2)

恥ずかしながら Cynthia Ozick のことも最近まで全然知らなかった。彼女はけっこう有名な作家らしく、本書の読後、すでに邦訳が出ていることを発見した。ショールの女作者: シンシアオジック,Cynthia Ozick,東江一紀出版社/メーカー: 草思社発売日: 1994/03…

Cynthia Ozick の “The Shawl”(1)

Cynthia Ozick の旧作短編集 "The Shawl" を読みおえた。例によってまずレビューを書いておこう。The Shawl (Vintage International)作者:Ozick, CynthiaVintageAmazon[☆☆☆★★] 第二次大戦中におけるユダヤ人の迫害を主題とする小説は数多いが、本書は彼らが…

Julie Orringer の “The Invisible Bridge”(3)

Julie Orringer という作家の存在を知ったのは今年の1月で、本書とともに彼女の旧作短編集 "How to Breathe Underwater" が今年の全米批評家(書評家)協会賞の候補作、Hans Keilson の "Comedy in a Minor Key" の関連書としてあちらのサイトで挙げられて…

Julie Orringer の “The Invisible Bridge”(2)

昨日本書のレビューを書きおえたあとネットを検索したら、オレンジ賞のショートリストが発表されていた。予想どおり、本書は残念ながら落選。一方、先月末にこれが有力候補作では、とふれたEmma Donoghue の "Room" と Nicole Krauss の "Great House" は残…

Julie Orringer の “The Invisible Bridge”(1)

今年のオレンジ賞候補作、Julie Orringer の "The Invisible Bridge" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Invisible Bridge (Vintage Contemporaries)作者: Julie Orringer出版社/メーカー: Vintage発売日: 2011/01/25…

“The Invisible Bridge”雑感(3)

この土日で一気に本書を片づけようと思ったのだが、あいにく土曜は出勤日で、夜はストレス発散のため痛飲。おかげで昨日は頭が働かず、まだ読みおわっていない。が、それでも本書を読みはじめてから一日平均100ページずつ消化しているので、最近のぼくにして…

“The Invisible Bridge”雑感(2)

ぼくにしては珍しくハイピッチで読み進み、もう中盤を過ぎたところ。相変わらず「めっちゃくちゃオモロー」で、年度初めの繁忙期だというのに、仕事のことなどほとんど眼中にない。もっか、いちばんの関心事は本書がハッピー・エンディングかどうか、という…

“The Invisible Bridge”雑感(1)

今年のオレンジ賞候補作、Julie Orringer の "The Invisible Bridge" に取りかかった。これは去る2月、彼女の旧作短編集 "How to Breathe Underwater" を読んだときから気になっていた本で、ぼくは原則的に、1年以内に同じ作家の作品を読まないことにして…

Barbara Kingsolver の “The Lacuna”(3)

老後が気になる年齢になると、自分の人生をふり返ったとき、ああ、あれが分かれ道だったんだな、と思えるような瞬間がいくつかあることに気がつく。その瞬間には、まさかそこまで運命を分けようとは思いもしなかったのに…。本書における主人公の青年とトロツ…

Barbara Kingsolver の “The Lacuna”(2)

3回の雑感では「クイクイ度が足りない」、「これが "Prodigal Summer" と同じ作者の作品かと思うとがっかりする」などと酷評してきたが、その後、「中盤を過ぎたあたりでエンジン全開。終わってみれば…大変な力作」ということで、前半の仕掛けをすぐに見抜…

Barbara Kingsolver の “The Lacuna”(1)

大変遅まきながら、去年のオレンジ賞受賞作、Barbara Kingsolver の "The Lacuna" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Lacuna作者:Kingsolver, BarbaraFaber And Faber Ltd.AmazonThe Lacuna: A Novel (P.S.)作者:Kings…

“The Lacuna”雑感(3)

先日の音楽特番につづいて今朝の番組でも、平原綾香の「Jupiter」を生歌で聴いた。やっぱり何度聴いても心にしみるし、元気が出てくる。そのあと、このところ節電のため自粛していたBGMとして、彼女の「マイ・クラシックス」シリーズを流しながら「自宅残業…