ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2017年ブッカー賞ロングリスト発表(The Man Booker Prize 2017 long list)

今年のブッカー賞ロングリストが発表された。このうち、"The Underground Railroad" はご存じのとおり、今年のピューリッツァー賞、および昨年の全米図書賞の受賞作でもある。また、"Days without End" は今年のコスタ賞大賞受賞作。両作品をふくめ、ぼくが…

Carys Davies の “The Redemption of Galen Pike”(2)

フランク・オコナー国際短編賞(Frank O'Connor International Short Story Award)が2015年で廃止されていたとは、去年まで知らなかった。え、と驚いたものだ。 ぼくのような素人ファンの場合、ニューヨーカー誌でも購読しないかぎり、いわゆる短編作家の作…

David Grossman の “A Horse Walks Into a Bar”(2)

やっと2回目にこぎ着けた。既報のとおり、ブッカー国際賞 (The Man Booker International Prize)の今年の受賞作である。昨年から同賞の対象は作家ではなく作品に変更され、その意味で本書は第2回受賞作。 去年の Han Kang の "The Vegetarian"(☆☆☆★★★)…

Carys Davies の “The Redemption of Galen Pike”(1)

早く David Grossman の "A Horse Walks Into a Bar" の続きを、と思いつつ、きょうも後回し。この1週間、ずっと持ち歩いていた Carys Davies の The Redemption of Galen Pike"(2014)をようやく読みおえたからだ。2005年に創設され、2015年で廃止された…

Elizabeth Strout の "Abide with Me" と "Olive Kitterridge"

ゆうべの記事をかいたあと確認したところ、Elizabeth Strout の旧作 "Abide With Me"(2006)と "Olive Kitteridge"(2008)の昔のレビューを公開していないことがわかった(追記:後日、すでに公開ずみであることが判明しましたが、この記事の削除はしてい…

Elizabeth Strout の “Anything Is Possible”(2)

やっと2回目の駄文だが、あまり付け加えることはない。ひと言でいうと、「柳の下に2匹目のドジョウはいなかった」。 ★ひとつの差だが、去年の "My Name Is Lucy Barton" のほうがずっといい。ぼくのように同書で味わった感動をもう一度、と期待に胸をふく…

2017年国際ブッカー賞受賞作・David Grossman の “A Horse Walks Into a Bar”(1)

順番から言うと、きょうは Elizabeth Strout の "Anything Is Possible" の話を続ける日だが、その前に、ゆうべ読みおえた David Grossman の "A Horse Walks Into a Bar"(2016)のレビューを書いておかないといけない。 Grossman はイスラエルの作家で、本…

Arundhati Roy の “The Ministry of Utmost Happiness”(2)

David Grossman の "A Horse Walks Into a Bar" を読了。ご存じ今年の Man Booker International Prize の受賞作である。本来ならすぐにレビューを書くところだが、いまは風呂上がり。明日の仕事に差し支えるといけない。そこで表題作の話に戻ろう。 Arundha…

Elizabeth Strout の “Anything Is Possible”(1)

きょうは Arundhati Roy の "The Ministry of Utmost Happiness" について駄文の続きを、と思っていたが、意外に早く、Elizabeth Strout の最新作、"Anything Is Possible" を読了。印象の薄れないうちにレビューを書いておこう。Anything is Possible作者:S…