ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Dino Buzzati の “The Tartar Steppe”(1)

イタリアの作家 Dino Buzzati(1906 – 1972)の "The Tartar Steppe"(1940, 英訳1952)を読了。ヴァレリオ・ズルリーニ監督の遺作『タタール人の砂漠』(1976)の原作である。さっそくレビューを書いておこう。 The Tartar Steppe (Canons Book 90) (Englis…

Chinua Achebe の “Things Fall Apart”(1)

Chinua Achebe の "Things Fall Apart"(1958)を読了。恥ずかしながら、いままで未読だった。陳腐なレビューしか書けそうにないが、さて。 Things Fall Apart 作者:Achebe, Chinua Penguin Classics Amazon [☆☆☆☆★] 文化とは、そして宗教とは、ある民族や国…

Knut Hamsun の “Hunger”(1)

きのう本書 "Hunger"(1890, 英訳1996)の中間報告をアップしたら、そのあと、なんだか憑きものが落ちたようにどんどん進み、一気に読了。Knut Hamsun(1859 – 1952)は1920年にノーベル文学賞を受賞したノルウェーの作家である。はて、どんなレビューになり…

Patrick Modiano の “Invisible Ink” (2)

ノルウェーのノーベル賞作家 Knut Hamsun(1859 – 1952)の "Hunger"(1890, 英訳1996)をボチボチ読んでいる。薄い本なのだけど、いっこうに進まない。 英語そのものはごく標準的で読みやすい。取りかかったとたん、これなら楽勝と思ったくらい。だけど、そ…

Veza Canetti の “The Tortoises”(2)と、再読したいナチス関連作品一覧

今回からやっと先月の落ち穂拾い。表題作を手にしたきっかけはウロおぼえだが、たぶん、「ウクライナの非ナチ化」という例のプロパガンダ。「非ナチ化?なにそれ?」と思ったものだけど、そんな時代錯誤のような cause でさえ戦争の cause になるのだから恐…

Patrick Modiano の “So You Don't Get Lost in the Neighborhood”(2)

"Young Once"(1981)がとてもよかったので(☆☆☆★★★)、つづけてまた Modiano が読みたくなった。いわゆる〈モディアノ中毒〉の症状である。ぼくは重症ではないけど、軽く患っている。 そこで手に取ったのが表題作(2014)。これもよかった(☆☆☆★★)。Modian…

Juan Rulfo の “Pedro Páramo”(1)

きのう、メキシコの作家 Juan Rulfo(1917 - 1986)の "Pedro Páramo"(1955, 英訳1993)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Pedro Paramo (Serpent's Tail Classics) 作者:Rulfo, Juan Profile Books Amazon [☆☆☆☆★] 生は死によって完結し、愛もまた…

Patrick Modiano の “Young Once”(2)

表題作は、そういえば今年はまだ Modiano を読んでなかったな、と気づいて取りかかった。それからほぼ2ヵ月。ふだんは1週間もすれば粗筋を忘れてしまうこともあるのに、これは本にはさんでいる読書メモを見てすぐに思い出した。秀作でしょう。 冒頭の舞台…

Antonio Tabucchi の “Pereira Maintains”(2)と既読作品一覧

表題作は、4月なかばに取り組んだ Antonio Tabucchi シリーズの4冊目。これで手持ちの彼の作品はぜんぶ片づけたことになる。当面あらたに読み足す予定もないので、以下、ささやかな既読作品一覧をアップしておこう。 1. Indian Nocturne(1984 ☆☆☆★★) 2. …

William Faulkner の “The Unvanquished”(1)

きのう、William Faulkner の "The Unvanquished"(1938)を読了。ミシシッピ州の架空の町ヨクナパトーファ郡ジェファーソンを舞台とするヨクナパトーファ・サーガのひとつで、7つの連作短編をまとめた作品である。さっそくレビューを書いておこう。(「な…

Antonio Tabucchi の “Requiem: A Hallucination”(2)

うかつだった。落ち穂拾いをしようと思って本書を手に取ったら、なんと Tabucchi 自身による巻頭の Note にこんな一節があった。But this book is, above all, a homage to a country I adopted and which, in turn, adopted me, and to a people who liked …