ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Elizabeth Taylor の “Angel”(2)

J.G. Farrell(1935 - 1979)の "Troubles"(1970)を読みはじめた。じつはこれ、今年こそ片づけようと年始に決めていた本の一冊。ご存じ Lost Man Booker Prize の受賞作である。 Booker Prize が創設されたのは1969年で、翌70年まで対象は前年刊行の作品だ…

Suzette Mayr の “The Sleeping Car Porter”(1)

きのう、昨年のギラー賞受賞作、Suzette Mayr(1967 - )の "The Sleeping Car Porter"(2022)を読了。 Mayr はカナダの女流作家で本書は6作目。小出版社の刊行作品を対象とした Republic of Consciousness Prize US/Canada の今年の候補作でもある。さっ…

“The Sleeping Car Porter” 雑感

このところなにかと雑用に追われ、読書はひと休み。雑用のなかには書斎のレイアウトの変更と、それに伴う家具類の移動もあった。 べつにたいした家具ではない。デスクは家人の実家にあった小さな食卓で代用しているのだけど、いままで窓向きだったのを室内に…

Elizabeth Taylor の “Angel”(1)

ゆうべ、Elizabeth Taylor(1912 - 1975)の "Angel"(1957)を読了。この Elizabeth Taylor は同名の女優とは別人物。本書は2007年、フランソワ・オゾン監督により映画化され、同年日本でも公開されている。邦題は『エンジェル』。さっそくレビューを書いて…

Peter Handke の “A Sorrow Beyond Dreams”(2)

遅ればせながら、今年の全米批評家協会賞(対象は去年の作品)の最終候補作をチェックしたところ驚いた。なんと Mieko Kawakami の "All the Lovers in the Night" がノミネート! 原作は2014年刊だが、どうやら昨年英訳が刊行されたものらしい。周回遅れの…

Heinrich Böll の “The Lost Honor of Katharina Blum”(2)

ゆうべ、一杯やりながらピエトロ・ジェルミ監督の『刑事』(1959)を観たあと、Wiki で調べて驚いた。Carlo Emilio Gadda の "That Awful Mess on Via Merulana"(1957)が原作とはちっとも知らなかった。いまさらながら、恐ろしい無知ですな。でもきっと、…