2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
本書には前回(2)で挙げたとおり、美点がいくつもある。ぼくの評価も☆☆☆★★。双葉十三郎のことばをもじっていえば、「読んでおいていい作品」だ。 なかでもコロナ禍をいち早く採りあげ、あの状況の核心のひとつに迫ったことは、現代文学のひとつの生きのこ…
本日(ニューヨーク時間20日)、今年の全米図書賞が発表され、小説部門で Percival Everettの "James"(2024)がみごと栄冠に輝いた。未読の最終候補作もあるが、まずは順当な結果ではなかろうか(☆☆☆★★)。 既読の最終候補作は Hisham Matar の "My Friends…
前回の記事、お気づきでしょうが、要するに「今年のブッカー賞はすこぶる低調だった」、さらには「文学の水準が低下した」というだけで、その原因についてはなにもふれていない。 これから少しずつ、受賞作・候補作の落ち穂ひろいをしながら考えてみよう。(…
この秋口から喘息、さらには腰痛に悩まされ、超絶不調。なにを読んでいても、ちょっと面白くないなと思っただけで小休止、あげくに大休止。おかげで例年と異なり、ブッカー賞の発表当日になっても私的ランキングを公開できなかった。(そうそう、去年は去年…
チンタラ読んでいた Samantha Harvey の "Orbital"(2023)が今年のブッカー賞を受賞。しぶしぶペースを上げ、やっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。 Orbital: Winner of the Booker Prize 2024 (English Edition) 作者:Harvey, Samantha Vint…