ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

アレックス賞および青春小説

Hillary Jordan の "Mudbound"(1)

今年のアレックス賞受賞作のひとつだが、故殿山泰司風に言えば、クイクイ読める本。あまりに面白くて、電車の中だけでなく家に帰ってからも読みふけり、おかげで昨日の雑感の続きを書くまでもなく一気に読了してしまった。 追記:その後、本書は2006年のベル…

Ron Rash の "The World Made Straight"(1)

昨夜、Ron Rash の "The World Made Straight" を読了。処女作 "One Foot in Eden" のレビューでぼくは、「近作は未読だが、さらに陰影に富んだ人物像の提示があることを期待したい」と書いたが、http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20071031/p1 その期待は充…

Helen Cross の "My Summer of Love"

Helen Cross の "My Summer of Love" を読了。「夏シリーズ」第4弾だが、今回はいささか期待はずれだった。My Summer of Love作者: Helen Cross出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC発売日: 2002/06/03メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ…

Rawi Hage の "De Niro's Game" 

今年の国際IMPACダブリン文学賞受賞作、Rawi Hage の "De Niro's Game" を読了。同賞にふさわしく、レバノンとフランスを舞台にしたインターナショナルな佳作である。De Niro's Game作者: Rawi Hage出版社/メーカー: Old Street Publishing発売日: 2008/05/0…

Diane Setterfield の "The Thirteenth Tale"

世間は連休モードだが、ぼくは何かと忙しく、ぼちぼち本を読んでいる程度。前回、『嵐が丘』に軽くふれたので、今日はゴシック・ロマンについて。The Thirteenth Tale作者: Diane Setterfield出版社/メーカー: Washington Square Press発売日: 2007/10/09メ…

Tobias Wolff の "Old School"

多忙につき今日も昔のレビュー。Old School (Vintage Contemporaries)作者: Tobias Wolff出版社/メーカー: Vintage発売日: 2004/08/31メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る[☆☆☆☆] 短編の名手トバイアス・ウルフが初めてものした長編で…

Aryn Kyle の "The God of Animals"

07年度のアレックス賞受賞作、Aryn Kyle の "The God of Animals" がようやくペイバーバックになった。物語性豊かな面白い作品なので、そのうち翻訳も出るかもしれない。The God of Animals作者: Aryn Kyle出版社/メーカー: Scribner発売日: 2008/03/04メデ…

Jim Lynch の "The Highest Tide"

多忙につき、今日も昔のレビュー。Jim Lynch の "The Highest Tide" だ。The Highest Tide作者: Jim Lynch出版社/メーカー: Bloomsbury Childrens Books発売日: 2007/05/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る[☆☆☆★★★]…

Sara Gruen の "Water for Elephants"

またもや「自宅残業」の日々が始まったので、例によって昔のレビューでお茶を濁すことにした。サラ・グルーエンの "Water for Elephants" である。Water for Elephants作者: Sara Gruen出版社/メーカー: Algonquin Books発売日: 2007/05/01メディア: ペーパ…

Ishamael Beah の "A Long Way Gone"

アレックス賞の新しい受賞作の中でペイパーバック版を見つけたのでさっそく読んでみた。Ishamael Beah の "A Long Way Gone" である。A Long Way Gone: The True Story of a Child Soldier作者: Ishmael Beah出版社/メーカー: HarperPerennial発売日: 2008/0…

Niccolo Ammaniti の "Steal You Away" と Alberto Moravia の "Boredom"

ドイツ文学のつぎに読んだのはイタリア文学の作品。正月休みということで軽めの小説を選んだ。Steal You Away作者: Niccolo Ammaniti出版社/メーカー: Canongate Books発売日: 2007/04/05メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) …

Alain-Fournier の "Le Grand Meaulnes"

世間は三連休だったと思うが、ぼくは土曜出勤の上、昨日おとといの午前中は「自宅残業」。さすがに午後からは仕事をする気になれず、いろいろな理由があってアラン=フルニエの『グラン・モーヌ』を読んでいた。The Lost Estate (Le Grand Meaulnes) (Penguin…

Mary Lawson の "The Other Side of the Bridge"

去年のブッカー賞のロングリストに選ばれた Mary Lawson の "The Other Side of the Bridge" を読んでみたら、しばし胃炎の痛みを忘れるほど面白かったが、ショートリストから外れた理由も何となく分かり、その意味でも興味深かった。The Other Side of the …

Kent Meyers の "The Work of Wolves"

やっと勤務時間内で仕事が片づくようになり、この土日は久しぶりに本をぼちぼち読むことができた。その成果が次のレビューだ。The Work of Wolves作者: Kent Meyers出版社/メーカー: Mariner Books発売日: 2005/07/11メディア: ペーパーバックこの商品を含む…

Jeffrey Lewis の "Meritocracy: A Love Story"

ぼちぼち読んでいる本はあるのだが、なにしろ多忙を極め、この土日も仕事三昧。そこで今日も昔のレビューの焼き直しだ。Meritocracy作者:Lewis, JeffreyOther PressAmazon[☆☆☆★★★] 「愛とはなにか、ぼくにはわかっていたのだろうか」。こんなセリフも出てく…

Pamela Carter Joern の "The Floor of the Sky"

朝はノーマン・メイラーのことを書いていたので読了が遅れたが、今年のアレックス賞受賞作の一つ、Pamela Carter Joern の "The Floor of the Sky" を午後になって読みおえた。The Floor of the Sky (Flyover Fiction Series)作者: Pamela Carter Joern出版…

Ivan Doig の "The Whistling Season"

この連休中も仕事に追われたが、その合間にようやく Ivan Doig の "The Whistling Season" を読みおえた。The Whistling Season作者: Ivan Doig出版社/メーカー: Mariner Books発売日: 2007/05/07メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブロ…

Kent Haruf の "Plainsong" と Tom Bailey の "The Grace That Keeps This World"

ブッカー賞の季節がようやく終わり、これでアメリカの小説もじっくり読めるようになった。さる10月10日には全米図書賞の最終候補作が発表され、http://www.nationalbook.org/nba2007.html どうやら Denis Johnson の "Tree of Smoke" が本命視されているよう…