ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

全米批評家協会賞

Roberto Bolano の "2666"(1)

やっとのことでロベルト・ボラーニョの "2666"(2004)を読みおえた。2月18日から10回にわたって連載してきた雑感のまとめに過ぎないが、とりあえずレビューを書いておこう。 2666 (1,2,3)作者:Bolano, RobertoFarrar Straus & GirouxAmazon[☆☆☆☆★★] ひとつ…

今年の全米書評家(批評家)協会賞と、 Elizabeth Strout の “Abide with Me”

いささか旧聞に属するが、全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)の候補作が発表されている。http://bookcritics.org/news/archive/2008_nbcc_finalists_announced/ ラインナップは次のとおり。 "2666" Roberto Bolano "Home" Marilynne Robinson "The Lazaru…

Marianne Wiggins の "The Shadow Catcher"

Marianne Wiggins の "The Shadow Catcher" を読了。なかなかの力作だが、今年の全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)を逃した理由も何となく分かった。The Shadow Catcher: A Novel作者: Marianne Wiggins出版社/メーカー: Simon & Schuster発売日: 2008/0…

Tobias Wolff の "Old School"

多忙につき今日も昔のレビュー。Old School (Vintage Contemporaries)作者: Tobias Wolff出版社/メーカー: Vintage発売日: 2004/08/31メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る[☆☆☆☆] 短編の名手トバイアス・ウルフが初めてものした長編で…

Edward P. Jones の "The Known World"

前々回は "Gilead" の邦訳がまだ出ていない話をしたが、"Gilead" の前年(03年)に全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)を取った "The Known World" もやはり未訳のようである。The Known World: A Novel作者: Edward P. Jones出版社/メーカー: Amistad発売…

Junot Diaz の "The Brief Wondrous Life of Oscar Wao"

全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)の候補作、Junot Diaz の "The Brief Wondrous Life of Oscar Wao" は、"Time" や "Publishers Weekly" などでも年間優秀作品に選ばれている。The Brief Wondrous Life of Oscar Wao作者: Junot Díaz出版社/メーカー: R…

"Marilynne Robinson の "Gilead" と Monica Wood の "Any Bitter Thing"

全米批評家協会賞の発表が近づいてきた。未読なのに山勘で Marianne Wiggins の "The Shadow Catcher" に期待しているのは前に書いたとおりだが、今日は昔の受賞作(2004)のレビューでお茶を濁しておこう。これは2005年にピューリツァー賞も受賞している。G…

Andrei Makine の "Dreams of My Russian Summers"

年末年始の休みを利用した「文学の冬」シリーズで、仏独伊に続いて読んだのは露西亜の文学作品。といっても、正確にはロシア人作家がフランス語で書いた小説だ。1995年のゴンクール賞受賞作、および1997年の全米批評家協会賞最終候補作である。Dreams Of My …

Chimamanda Ngozi Adichie の "Half of a Yellow Sun"

前々回からの流れで、Adichie の "Half of a Yellow Sun" に触れざるを得なくなった。以下は、オレンジ賞の発表前に書いたレビューである。Half of a Yellow Sun作者:Ngozi Adichie, ChimamandaHarper Collins Publ. UKAmazon[☆☆☆☆★] 06年度の全米批評家協会…