ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

女性小説賞

Naomi Alderman の “The Power”

ずいぶん前に今年のベイリーズ賞(Baileys Women's Prize for Fiction:旧オレンジ賞)受賞作、Naomi Alderman の "The Power"(2016)を読み終えていたのだが、その後なかなかレビューを書く時間が取れなかった。おかげで、かなり印象がぼやけてしまった。 …

"The Power" 雑感

地獄の夏が終わったと思ったら、地獄の秋が待っていた。きのうなど文字どおり目が回り、血圧を測ってもらったところ、下が88。「これはよくない」と即座に言われた。原因はたぶん蓄積疲労だろう。 おかげで今年の Baileys Women's Prize for Fiction(旧オレ…

Ann Patchett の "The Magician's Assistant" (1)

この2ヵ月ほど体調不良をはじめ、〈厄月〉かと思えるほどトラブル続き。おかげで予定より大幅に遅れてしまったが、きのう何とか本書を読了した。1998年の旧オレンジ賞(現・女性小説賞)の最終候補作である。 レビューを書くのも久しぶり。どんな駄文になる…

A. M. Homes の “May We Be Forgiven” (1)

諸般の事情で大幅に遅れてしまったが、オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction の受賞作、A. M. Homes の "May We Be Forgiven" を昨日、ようやく読了した。さっそくレビューを書いておこう。May We Be Forgiven作者:Homes, A.M.Granta BooksAmazon[☆☆☆★…

2013年女性小説賞発表 (2013 Women's Prize for Fiction)

女性小説賞なのか女流文学賞なのか、とにかくオレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction の第1回受賞作は A. M. Homes の "May We Be Forgiven" に決定した。 ぼくは諸般の事情で、ようやく中盤に差しかかったところだが、おとといの日記にも書いたとおり…

Barbara Kingsolver の “Flight Behavior” (1)

Barbara Kingsolver の "Flight Behavior" を読了。オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction の最終候補作である。さっそくレビューを書いておこう。Flight Behaviour作者:Kingsolver, BarbaraFaber And Faber Ltd.AmazonFlight Behavior: A Novel (P.S.)…

Maria Semple の “Where'd You Go, Bernadette” (1)

オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction の最終候補作、Maria Semple の "Where'd You Go, Bernadette" を読了。これは今年のアレックス賞受賞作でもあり、昨年のタイム誌の年間ベスト10小説や、Janet Maslin の10 Favorite Books にも選ばれている。さ…

Kate Atkinson の “Life After Life” (1)

Kate Atkinson の "Life After Life" をやっと読みおえた。オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction の最終候補作である。さっそくレビューを書いておこう。Life After Life作者:Atkinson, KateDoubleday UKAmazon[☆☆☆★] 自分の生きている現実以外に、ま…

2013年女性小説賞ショートリスト (2013 Women's Prize for Fiction shortlist)

ロンドン時間で16日、オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction (女性小説賞)のショートリストが発表された。 "Life after Life" は、英米カナダのアマゾンで先月や今月の優秀作に選ばれている。"Flight Behaviour" は、たしか昨年11月の米アマゾン選優…

Ann Patchett の “Bel Canto” (1)

2002年のオレンジ賞受賞作、Ann Patchett の "Bel Canto" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Bel Canto作者:Patchett, AnnHarper PerennialAmazon[☆☆☆★★★] バベルの塔が崩壊したのち人類は共通言語をうしなったが、もしまだそれに近い媒体があるとし…

2013年女性小説賞ロングリスト (2013 Women's Prize for Fiction Longlist)

つい最近まで知らなかったのだが、今年からオレンジ賞が Women's Prize for Fiction (女性小説賞)と改称。本日ロングリストが発表された。例によって候補作が多すぎますな。趣旨はさておき、話題作りの商策がミエミエのような気もする。 以下、既読のもの…

Cynthia Ozick の “Foreign Bodies” (1)

今日も帰りにスタバに寄り、Cynthia Ozick の "Foreign Bodies" をようやく読了。今年のオレンジ賞最終候補作である。さっそくレビューを書いておこう。Foreign Bodies作者:Ozick, CynthiaAtlantic BooksAmazon[☆☆☆★★] ふとした偶然の出来ごと、そしてもちろ…

Georgina Harding の “Painter of Silence” (1)

今年のオレンジ賞最終候補作、Georgina Harding の "Painter of Silence" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Painter of Silence作者:Harding, GeorginaBloomsbury Publishing PLCAmazon[☆☆☆★] 古き佳き時代、青春、そして戦争の記憶をタペストリーの…

Madeline Miller の “The Song of Achilles” (1)

今年のオレンジ賞受賞作、Madeline Miller の "The Song of Achilles" を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Song of Achilles作者:Miller, MadelineBloomsbury Publishing PLCAmazon[☆☆☆★★] ギリシア神話の英雄アキレウスの生涯を、盟友パトロクロ…

オレンジ賞発表/“In One Person” 雑感 (2)

今日は多忙につき簡単に。まず今年のオレンジ賞は Madeline Miller の "The Song of Achilles" に決定した。ぼくは積ん読中だが、かなり前から評判になっていたと記憶する。既読の最終候補作の中でイチオシだった Ann Pachett の "State of Wonder" が選ばれ…

今年のピューリツァー賞とオレンジ賞最終候補作など

"Ten Thousand Saints" について少し補足しようと思ったが、父の逝去でしばらく田舎に帰省していたせいか、頭がまだ働かない。そこで今日は、最近発表された文学賞の受賞作や候補作をならべてお茶を濁しておこう。 まずピューリツァー賞だが、これは帰省中も…

Ann Patchett の “State of Wonder” (1)

Ann Patchett の "State of Wonder" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。 追記:その後、本書は2012年のオレンジ賞最終候補作に選ばれました。State of Wonder: A Novel作者: Ann Patchett出版社/メーカー: Harper発売日: 2011/06…

Tea Obreht の “The Tiger's Wife”(1)

今年のオレンジ賞受賞作、Tea Obreht の "The Tiger's Wife" を読了。さっそく例によってレビューを書いておこう。Tiger's Wife作者: Ta Obreht出版社/メーカー: Phoenix発売日: 2011/06/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 13回この商品を含む…

Aminatta Forna の “The Memory of Love”(1)

今年の国際IMPACダブリン文学賞は「残念ながら」、Colum McCann の "Let the Great World Spin" に決定した。もちろん秀作には違いないのだが、これは周知のとおり、2009年に全米図書賞を受賞している(http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20100128)。ダブリ…

Julie Orringer の “The Invisible Bridge”(1)

今年のオレンジ賞候補作、Julie Orringer の "The Invisible Bridge" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Invisible Bridge (Vintage Contemporaries)作者: Julie Orringer出版社/メーカー: Vintage発売日: 2011/01/25…

Barbara Kingsolver の “The Lacuna”(1)

大変遅まきながら、去年のオレンジ賞受賞作、Barbara Kingsolver の "The Lacuna" をやっと読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Lacuna作者:Kingsolver, BarbaraFaber And Faber Ltd.AmazonThe Lacuna: A Novel (P.S.)作者:Kings…

今年のオレンジ賞

夕べの特別音楽番組をたまたま少しだけ見たが、久しぶりに聴いた平原綾香の「Jupiter」がとてもよかった。こんな時だからこそ心にしみるのか。大学時代の友人も、「震災にあった人たちのことを思うと文句は言えないが、このバタバタですっかり疲れ果てた」と…

Peter Rock の “My Abandonment”

去年のオレンジ賞受賞作の一つ、Peter Rock の "My Abandonment" を読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。My Abandonment作者: Peter Rock出版社/メーカー: Mariner Books発売日: 2010/04/02メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を…

“Skippy Dies”雑感(2)

ガーディアン紙のHPをながめていたら、A. S. Byatt がオレンジ賞についてこんな発言をしている記事が目についた。The British novelist [Byatt] has been vocal in her criticism of sexism in the literary world, and also hit out at the Orange prize, w…

オレンジ賞発表(2010 Orange Prize for Fiction)

今年のオレンジ賞は、大御所 Barbara Kingsolver の "The Lacuna" に決定した。ぼくが勝手に大本命に推していた Lorrie Moore の "A Gate at the Stairs" は見事に落選。でもまあ、"Wolf Hall" とあわせて二冊しか候補作を読んでいなかったのだから、予想が…

Marilynne Robinson の "Home"(1)

今年のオレンジ賞受賞作、Marilynne Robinson の "Home" をやっと読み終えた。今まで3回の雑感ではついケチをつけてしまったが、最後でぐっと盛り上がり、読みの甘さを反省している。ともあれ、印象が薄れないうちにレビューを書いておこう。Home: Winner o…

Rose Tremain の "The Road Home"

今年のオレンジ賞受賞作、Rose Tremain の "The Road Home" を読了。かなり面白かった。The Road Home作者:Tremain, RoseChatto & WindusAmazon[☆☆☆★★★] タイトルとは裏腹に、本書の大半を占めるのは、東欧の田舎町からロンドンに出稼ぎにやってきた男の苦労…

Elif Shafak の "The Bastard of Istanbul"

Elif Shafak の "The Bastard of Istanbul" をやっと読みおえた。今年のオレンジ賞のショートリストに選ばれなかったのが惜しまれる秀作である。The Bastard of Istanbul作者:Shafak, ElifPenguin BooksAmazon[☆☆☆★★★] 家庭小説、歴史小説、フォークロアなど…

Sue Miller の "Lost in the Forest"

あと少しで Elif Shafak の "The Bastard of Istanbul" を読みおわるところだが、今日は先週の続きで、Sue Miller の "Lost in the Forest" について。Lost in the Forest: A Novel (Ballantine Reader's Circle)作者: Sue Miller出版社/メーカー: Ballantin…

Charlotte Mendelson の "When We Were Bad"

今年のオレンジ賞の最終候補作、Charlotte Mendelson の "When We Were Bad" をやっと読みおえた。When We Were Bad: A Novel作者: Charlotte Mendelson出版社/メーカー: Picador発売日: 2008/03/01メディア: ペーパーバック クリック: 2回この商品を含むブ…