ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

20世紀および現代イギリス文学

Lawrence Durrell の “Mountolive (Alexandria Quartet 3)”(3)

前回ぼくは、四部作のうち本書だけが三人称となっている理由として、それまでの流れに「コペルニクス的転回」をもたらすため、という趣旨のことを書いた。この点についてもう少し補足しておこう。 アレクサンドリア四重奏は構成が非常に複雑で、内容的にもす…

Lawrence Durrell の “Mountolive (Alexandria Quartet 3)”(2)

一週間前に風邪をひき、売薬でなんとかごまかしていたのだが治らず、きのう医者に診てもらったところ。確実に免疫力が落ちている。 ふだんにも増して頭が働かないが、とりあえずアレクサンドリア四重奏の第三巻、"Mountolive" について補足しておこう。 これ…

Lawrence Durrell の “Balthazar (Alexandria Quartet 2)”(2)

やっと本ブログのデザインがほぼ完成。ほんとうはいろいろカスタマイズできるらしいのだが、おじいちゃんにはシンドイ。飽きるまで当分、このままにしておこう。 過去記事の分類も面倒くさくなり、いったん休憩。また本ブログでは未公開のレビューもまだいく…

Allan Silitoe の “The Loneliness of the Long Distance”

はてなブログに切り替えてから依然、工事中。過去記事の分類で忙しい。そこで気がついたのだが、大昔アマゾンに投稿後、削除したレビューのうち、まだ本ブログでは一度もアップしていないものがあった。きょうはそれでお茶を濁しておこう。周知のとおり、Sil…

Lawrence Durrell の “Clea”(1)と『アレクサンドリア四重奏』

ゆうべ、Lawrence Durrell の "Clea"(1960)を読了。これでやっと Alexandria Quartet(アレクサンドリア四重奏)を全巻通読したことになる。 The Alexandria Quartet [☆☆☆☆★★] The Alexandria Quartet: Justine, Balthazar, Mountolive, Clea (English Edi…

Lawrence Durrell の “Mountolive (Alexandria Quartet 3)”(1)

Lawrence Durrell の "Mountolive"(1958)を読了。周知のとおり、"Justine"(1957)に始まる Alexandria Quartet の第三巻である。さっそくレビューを書いておこう。Mountolive (Alexandria Quartet)作者: Lawrence Durrell出版社/メーカー: Penguin Books…

Lawrence Durrell の “Balthazar (Alexandria Quartet 2)”(1)

きのう、Lawrence Durrell の "Balthazar"(1958)を読了。周知のとおり、"Justine"(1957)に始まる Alexandria Quartet の第二巻である。さっそくレビューを書いておこう。Balthazar (Alexandria Quartet)作者: Lawrence Durrell出版社/メーカー: Penguin …

Lawrence Durrell の "Justine (Alexandria Quartet 1)"(2)

去る7月、Joyce Carol Oates の Wonderland Quartet の掉尾を飾る "Wonderland"(1971 ☆☆☆★★★)を読みおえたとき、こんどはいよいよ Alexandria Quartet だな、と心に決めていた。そもそも、積ん読の山の中で質量ともに大山塊とも言うべきこの4部作の攻略…

Lawrence Durrell の "Justine(Alexandria Quartet 1)"(1)

きのう Lawrence Durrell の "Justine"(1957)を読了。周知のとおり、これは The Alexandria Quartet の第1部であり、本来なら著者の意図どおり、4部作を a single work として読み、レビューを書くべきところだが、いつになったら完読できるのかわからな…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (3)

タイトルの意味は途中でわかった。それがレビューに書いた〈手紙の配達人〉。少しだけネタを割ると、〈秘密の手紙の配達人〉。と補足しただけで、ははあ、あの話ですね、とおおかた想像がつくことだろう。 今でこそケータイ、スマホ、ラインなど便利な道具の…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (2)

どんな本でも読むのにちょうどいい年齢や時期、タイミングがある。この "The Go-Between"、ぼくは主人公の Leo 少年と同じ12歳の夏休みにぜひ読みたかった! きのうレビューを書きおえたあと裏表紙を見たら、Ian McEwan のこんなコメントが載っていた。I fir…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (1)

ゆうべ、L. P. Hartley の "The Go-Between" を読了。Hartley は、創元推理文庫『怪奇小説傑作集2』の第1話「ポドロ島」の作者である。さて、ひと晩寝かせたところで、どんなレビューになるでしょうか。 追記:その後、映画化されていることを発見しました…

"The Go-Between" 雑感 (1)

今年は昼間も、というか寝床以外でも日本文学の catch up を、と決心。年末に引き続き、宮下奈津の『遠くの声に耳を澄ませて』を読んでいる。一日一話。まだ終わらない。それどころか目次をながめても、これ、どんな話だっけ、と首をかしげることが多い。こ…

Iris Murdoch の “The Bell”(6)

なぜこれほど鐘の意味にこだわるのか。タイトルだからということもあるが、この「予兆、暗示に充ち満ち」た作品の中にあって、ほとんど唯一、鐘だけが予兆や暗示のままに終わっているからである。 雑感にも書いたように、「どの描写、どのエピソードをとって…

Iris Murdoch の “The Bell”(5)

救いを求め、'somewhere, something good existed' と思って Imber の田舎に帰った Dora が目にしたのは、もちろん鐘である。詳しい状況についてはネタバレの恐れがあり省略。とにかく、彼女は Toby 少年から〈その鐘〉の話を聞いて昂奮する。'Dora, who fel…

Iris Murdoch の “The Bell”(4)

小説についてなるべくネタを割らないように説明するのはむずかしい。とりわけ、本書のようにサスペンスフル、ミステリアスな作品の場合、その緊張や謎の意味を不用意に明らかにすると興味が半減してしまう。 と肝に銘じつつ、前回の続きを書こう。ぼくが Mic…

Iris Murdoch の “The Bell”(3)

学生時代の夏休みに本書を初めて読んだとき、鐘のことをどう考えたのかはさっぱり記憶にない。ということはおそらく、何も考えなかったような気がする。その意味について思いをめぐらす余裕もなく、ただただ物語の渦中に引き込まれ、とりわけ「ハイライト前…

Iris Murdoch の “The Bell”(2)

雑感にも書いたとおり、これはぼくの青春時代で最も思い出ぶかい本である。しかも40年ぶりの再読ということで、読後は感無量……のはずだが、意外にそうでもなかった。 まず、「最後のほうの展開も結末もかなり憶えている」はずだったのに、実際は、え、こんな…

Iris Murdoch の “The Bell”(1)

このところ多忙と疲労で思うように本が読めず、40年前の夏休みと違って、最後は一気にひと晩で、というわけに行かなかった。また、レビューを書く時間もなかなか取れなかった。いざ書き出してみると、いっこうに先が続かない。さてさて困ったものだ。The Bel…

"The Bell" 雑感(2)

その年の夏休みが終わり、教室で出会った仲間の一人と、どんな本を読んだか話し合う機会があった。D. H. Lawrence、George Orwell、Aldous Huxley、Graham Greene とぼくが報告したところまでは、フムフムなるほど、という反応だったが、Iris Murdoch の名前…

"The Bell" 雑感(1)

昨秋、本ブログを再開してから今まで採り上げたのは、わずか4冊にすぎない。Herman Hesse の中短編集 "Klingsor's Last Summer"、Stendhal の "The Red and the Black"、Thomas Mann の短編集 "Death in Venice"、そして Tolstoy の自伝小説3部作 "Childho…

H. E. Bates の “A Month by the Lake & Other Stories” (1)

世間とちがって今日は出勤日だったが、H. E. Bates の短編集、"A Month by the Lake & Other Stories" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。A Month by the Lake and Other Stories (New Directions Paperbook)作者: H. E. Bates出版社/メ…

Elizabeth Bowen の "A World of Love"

いやはや、とんだ連休だった。当初のもくろみでは Philp Hensher の "The Northern Clemency" を読破するはずだったが、完全に中断。結局、「自宅残業」に明け暮れ、文学とはまったく縁のない毎日だった。 うれしかったのは、四万十市にいる畏友から久しぶり…

Graham Greene の "The Honorary Consul" 

昨晩、志賀高原から帰ってきた。当初はホテルで本を読もうと思っていたが、昼間に滑りすぎて頭が働かずダウン。そこで今日は3年前、「愛と現実の矛盾」と題してアマゾンに投稿、その後削除したレビューでごまかそう。The Honorary Consul作者:Greene, Graha…

Alan Sillitoe の "The Loneliness of the Long Distance Runner"

もっか猫の手も借りたいほど忙しく、中断している長編の代わりにせめて短編集でも読みたいところだが、ぼくは物覚えが悪く、最初のほうに読んだ短編がどんな作品だったか忘れてしまうことが多い。それゆえ、短編集のいい読者とは言えないが、シリトーの『長…

Evelyn Waugh の "Decline and Fall"

06年に続いて05年に読んだ本のベスト3を選ぼうと思ったが、ぼくがリアルタイムで英米の現代文学を追いかけるようになったのはこの2、3年のことで、05年はまだ旧作が中心だった。たとえばイーヴリン・ウォーなども一例で、以下は、「奇想と常識と」と題し…

D. H. Lawrence の “The Rainbow”

ロレンスは学生時代の夏、"Lady Chatterley's Lover" を読んで以来、なんとなく夏読書向きのイメージがある。8年前に突然、海外文学に狂いはじめてから、夏になると英文学の古典としては、最初は E. M. フォースターやジョイス、コンラッド http://d.hatena…

D. H. Lawrence の “Aaron's Rod”(1)

D. H. Lawrence の "Aaron's Rod" を読了。ロレンス7作目の長編(22)で、彼の恋愛哲学、人間観が色濃く打ちだされた問題作だと思う。Aaron's Rod: Cambridge Lawrence Edition; Revised (Classic, 20th-Century, Penguin)作者: D. H. Lawrence,Mara Kalnin…

Margaret Drabble の "A Summer Bird-Cage"

Margaret Drabble の "A Summer Bird-Cage" を読了。題名に summer のついた未読の本はまだ何冊か手元にあるが、本書でとりあえず今年の「夏シリーズ」はおしまい。A Summer Bird-cage作者: Margaret Drabble出版社/メーカー: Penguin発売日: 1973/04/26メデ…

Elizabeth Taylor の "In a Summer Season" 

いよいよ夏到来。そこでしばらく、題名に summer のついた本を読むことにした。In a Summer Season (Virago Modern Classics)作者: Elizabeth Taylor出版社/メーカー: Virago発売日: 2006/04/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る[☆…