ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ブッカー賞のショートリスト

 時差の関係で今朝わかったのだが、現地時間で9月6日、ブッカー賞のショートリストが発表された。http://www.themanbookerprize.com/prize/thisyear/shortlist
 オッズで人気の高い Nicola Barker の "Darkmans" は、向こうのレビューを読むかぎり、当然選ばれるものと思っていたが、なにしろ八百頁を超える大作。面白そうだけど、仕事のあいまに読むのはちょっとしんどい。
 Mohsin Hamid の "The Reluctant Fundamentalist" も予想通り。9.11テロ事件を題材にした作品で、話題性に富んでいる。しかし、こういう時事的なものは一歩間違えると際物になりかねない。それが今まで注文しなかった理由だ。
 イアン・マッキュアンとロイド・ジョーンズの作品はもう読んだ。ジョーンズの『ミスター・ピップ』は当然として、マッキュアンの『チェジル・ビーチにて』まで選ばれるとは、今年のブッカー賞は本当に低調なのかもしれない。雑学になるが、Chesil Beach というのは有名な観光地らしい。レイチェル・シーファーの "Afterwards" にも出てきた。シーファーのこの作品、ブッカー賞候補になるかも、と思って読んだのだが、ロングリストに選ばれなかったのは正しい。そういえば、イァン・バンクスの "The Steep Approach to Garbadale" も選外だった。光る場面もあるのだが、とにかく無意味に長かった。この二作に関するかぎり、選考委員の眼識は信じていい。
 ショートリストに話を戻すと、未読だが既に入手済みのものは、Anne Enright の "The Gathering" と、Indra Sinha の "Animal's People"。特に前者は、ロングリストの段階から気になっている。オッズの人気は低いが、去年の受賞作、キラン・デサイ "The Inheritance of Loss" もそうだった。というわけで、今日からアン・エンライトを読むことにしよう。