ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Kent Haruf のことなど

 このところ天気が変わりやすく、てきめん風邪をひいてしまい、気分はすっかりブルー。昨日など本も読めず、先々週、BGMのベスト2に選んだ『タブラ・ラサ』ばかり聴いていた。ひさしぶりに聴くと「静寂の音」が心にしみてくる。あと、Ketil Bjornstad & David Darling の "The River"。最近買ったCDだが、これまた「ひたむきな祈り」が感じられ、涙がチョチョ切れそう。

The River

The River

 そんなこんなで、今日になってやっと Kent Haruf の新作 "Eventide" に取りかかった。「新作」と言ってももう4年前の本で、米アマゾンで検索する限り、それ以後どうも新しい作品は出ていないようだ。処女作 "The Tie That Binds"(未読)が84年で、先々週、06年のベスト2に選んだ3作目の "Plainsong" が99年刊。Haruf は本当に寡作な作家だ。
 まだ50ページくらいしか読んでいないが、静かで抑制された筆致がじつにいい。ペイパーバックの表紙裏に載っている新聞記事の「ヘミングウェイを思い出させる作風」という寸評もうなずける。"Plainsong" と同じ人物が登場し、やはり大草原のただ中の小さな町の物語のようである。直感として、前作ほどの出来ではないかもしれないけれど、それでも充分楽しめそうだ。気分一新、がんばらなくては。