やっと出張先から帰ってきた。この2日間、携帯を使って書いた日記を訂正したところだが、訂正前の画面を見たときは愕然。携帯の利用の仕方がよく分かっていなかったせいで、すごいことになっていた。
帰りの電車の中で "An Irish Country Doctor" を読了。最後の farewell party のシーンがとても感動的で、読みおわったときは目頭が熱くなり、あわてて窓の外の景色を眺め、ことなきを得た。これからまだ秀作佳品に出会うことを期待して、「この秋最高の読書体験」だったかどうかは保留にするが、とにかくすばらしい小説であることは間違いない。
さっそく、いつものようにレビューを書こうと思ったが、旅の疲れで頭がぼんやりして働かない。そこで、昨日おとといの簡単な感想の続きを書くと、とにかく、べつに政治や道徳上の重大な問題を扱っていなくても、日常茶飯の出来事を描きながら、そこに人物の心情をこめたり、人生そのものを浮き彫りにしたりすることで、充分読みごたえのある文学作品に仕上がるということだ。
裏表紙の紹介によると、作者の Patrick Taylor は本書の登場人物と同じくアイルランドの田舎生まれで、医師の資格を持っている。遅まきながら作者の前書きも読んでみたら、"Stitches: The Journal of Medical Humour" という雑誌に毎月載せていたコラム記事が土台とのこと。もしかしたら、医師として実際に体験したエピソードも混じっているのかもしれない。
…今日はもう疲れた。疲れたときはバッハだ。これを書きながらゴルトベルク変奏曲のシフ盤を流している。ひさしぶりに聴くが、意外にいいのでびっくりした。第2変奏など、ひとつひとつの音をじっくり紡ぎだすような感じで、それが疲れた心をやんわり解きほぐしてくれる。その点、グールドの旧盤とは対照的だ。あれは元気なときに聴くゴルトベルクかもしれない。

- アーティスト: シフ(アンドラーシュ),バッハ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2008/10/08
- メディア: CD
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