ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

08年下半期ベスト3と年間ベスト3

 遅ればせながら、昨年の下半期に読んだ本の中からベスト3を選んでみた。
1.

That Summer in Paris

That Summer in Paris

(詳細は昨年7月16日の日記 http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080716/p1
2.
An Irish Country Doctor (Irish Country Books)

An Irish Country Doctor (Irish Country Books)

(詳細は昨年10月21〜25日の日記 http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20081025/p1
3.
The White Tiger: A Novel (Man Booker Prize)

The White Tiger: A Novel (Man Booker Prize)

(詳細は昨年11月13〜17日の日記 http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20081113
番外
The Idiot (Vintage Classics)

The Idiot (Vintage Classics)

(詳細は昨年8月21〜28日の日記 http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080821
 旧作は除き、なるべく近年出版されたもの、というのが一応の基準だが、貧乏金なしのぼくはハードカバーになかなか手が出ず、昨年の作品は "The White Tiger" だけ。これはブッカー賞受賞作ということで敬意を表した。
 1位と2位は逆転してもいい。どちらもどこかの出版社が目をつけそうな気がする。時間があれば自分で翻訳したいくらいだが、出版の当てもないのに訳しても自己満足に終わるだけで意味がない。
 『白痴』は旧作もいいところなので番外にしたが、じつはこれがぼくの年間ベスト。それどころか、「わが生涯のベスト…」に入るほど断トツですばらしい。
  以上の3作と、昨年7月1日に選んだ上半期ベスト3 http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080701 を較べると、年間ベスト3は結局、上半期のものばかりになる。それだけ後半が不作だったわけではなく、単なる巡り合わせに過ぎない。…と思ったが、同日の日記を読み返すと、「もしかしたら、体調がすぐれないときほど面白い本と出会う確率も低いのかもしれない」と書いていた。
 また、一昨年の下半期から「低調続き」とも書いている。おとといの日記で引用した木山捷平の「五十年」をもじり、「そんな具合にして僕の??年も暮れようとしてゐた」と言いたくなるが、今日届いた『長春五馬路』の腰巻に、「ひたすら 淡々と 生きる」とあった。
長春五馬路 (講談社文芸文庫)

長春五馬路 (講談社文芸文庫)

 これは「五十年」に示されている人生観でもある。決して幸福とは言えない、むしろ、悲しいことの多い人生かもしれないが、肩肘張らず、飾らず、自然体で淡々と生きる。今やぼくの人生も「暮れようとしてゐ」るが、これからはそんなふうに生きたいものだ。