ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

コスタ賞の行方(2)と "Sunrise" 雑感

 いささか旧聞に属するが、コスタ賞の部門賞が発表されている。http://www.costabookawards.co.uk/awards/category_winners.aspx
 処女長編賞は Sadie Jones の "The Outcast" で、これはかなり前からアマゾンUKではベストセラーになっている。

The Outcast

The Outcast

 優秀長編賞は、去年のブッカー賞のショートリストにもノミネートされていた Sebastian Barry の "The Secret Scripture"。
The Secret Scripture

The Secret Scripture

 あと、詩や児童書などもふくめて大賞が選ばれるわけだが、Sebastian Barry が受賞する可能性はかなり高いと思う。ペイパーバックがもうすぐ出るので、あわてて注文したところだ。
 スキーぼけがようやく直り、今日からボチボチ、Karen Kingsbury の "Sunrise" を読みはじめた。これは Sunrise Series の第1作で、去年の夏に2作目の "Summer" を読んで以来、半年ぶりのキングズベリーだが、今のところ、うーん、"Summer" のほうが面白かったような気がする。http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080713
 理由は2つある。まず、これはシリーズ第1作といっても、Rdemption Series に始まる一連の Baxter 家の物語のひとつということで、"Summer" のレビューでは、「家族の死や病気、事故など、過去に迎えた大きな試練への言及がいくつかあり、最初から読んでいる読者なら思わずにやっとするのではないか」と書いたけれど、その言及がこの "Sunrise" では若干多すぎる。
 しかしこれはたぶん、今まで読んだ部分では、主筋がまだ本格的に始まっていないせいだろう。とにかく、読む順番は逆になったが2作目ということで、登場人物の性格にしろ何にしろ、新鮮味が薄い。バクスター家サーガの熱狂的なファンなら、同じパターンに接しても「あばたもえくぼ」、「思わずにやっとする」のだろうが、ぼくは作家の手の内が読めると興ざめしてしまう。それが今のところあまり乗れない最大の理由だ。