ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

単語録:demeaning

 今まで英米を中心に日本や世界各国の文学、映画やクラシック音楽のことも書いてきたが、そろそろネタ切れの感があり、今日から少しずつ別の話題も採りあげることにした。題して「単語録」。初回は demeaning について。
 demean という他動詞は、『ジーニアス英和』や『ロングマン英和』、『ランダムハウス英和』などを調べると、「(行為などが)〜の品位を下げる、傷つける」「〜をおとしめる」「沽券にかかわる」。この他動詞の意味から発展して、形容詞 demeaning は「〜の品位を下げる(傷つける)ような」、「(仕事・扱い・経験などが)屈辱的な」と説明されている。
 ところが、次の例文ではどうだろう。Maddie lifted her chin and gave her cousin a demeaning look. この場合、上述の辞書訳ではいかにも収まりが悪い。lifted her chin とは挑戦的なアクションで、事実、この例文は、いとこ同士がたまたま、あることで意見が衝突し、いがみ合っている場面で出てきたものだ。
 そこで英英辞典を調べると、demean は to cause (oneself) to lose one's sense of personal pride とか、to lower in status or character などと定義されており、上の辞書訳のゆえんとなっている。が、Longman Dictionary of Contemporary English によれば、demean は "to do something that makes people lose respect for someone or something" で、demeaning は "showing less respect for someone than they deserve, or making someone feel embarrassed or ashamed" とのこと。
 この記述を読めば、上の状況における demeaning は「(人を)見下すような」が適訳なのではないか。つまり despising と同じ訳になってしまうわけで、たしかに lose respect や show less respect を despise と言い換えることには飛躍があるものの、文脈によっては少々思い切った飛躍も必要なのが翻訳である。
 そう考えると上の例文は、「マディーはあごの先をぐっと突きだし、いとこを見下すように眺めやった」と訳すことができる。lifted her chin を「あごの先をぐっと突きだし」と訳したのは、臨場感あふれる訳文になるように工夫した一例である。