ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Kristin Hannah の "Firefly Lane"(1)

 昨日に引き続き「自宅残業」で忙しかったが、何とか時間を見つけて読みおえた。例によって今までの雑感のまとめに過ぎないが、さっそくレビューを書いておこう。

Firefly Lane

Firefly Lane

[☆☆☆★★] 中学の娘時代から30年以上にわたる2人の女性の友情を描いた涙と感動の物語。性格も容貌も家庭環境も対照的だが、孤独で友人のいなかった2人が互いに惹かれ、永遠の友情を誓う。が、その関係は決して不変ではなく、むしろ山と谷の連続。揺れ動く2人の心理と紆余曲折を通じて、人生におけるさまざまな問題がリアルに描かれる。親子の対立や誤解、青春の悩み、片思いの苦しみ、流産、出産や子育ての苦労、家庭に埋没した主婦のもどかしさ、家族の愛を知らぬキャリアウーマンの孤独、仕事と友情の板ばさみ、夫や友人への嫉妬、事故や病気…。思春期から中年にかけて女性がおよそ経験しそうな出来事がこれでもかと続く。どれも日常茶飯の話ばかりで、その意味では現象を深く掘り下げ、人生の矛盾を追及するような作品ではない。しかし、ここには現実そのものから生まれる強烈な力があり、それが物語を与えられることによって倍加し、理屈ぬきに読者の心に迫ってくる。そう言えば自分もあのときそうだった、と感情移入せざるをえないのだ。よくある古い話なのに泣ける。書中に出てくるキャロル・キングの名曲 "You've Got A Friend" を思いっきりストーリー化したような作品である。日本人には難易度の高い口語俗語表現を除けば、あとはごく標準的な英語で読みやすい。