勤務先の関係で、今日から待望の連休。本来なら読書三昧と行きたいところだが、夕方近くまで「自宅残業」。何のことはない、職場にいるようなもので、宮仕えのつらいところだ。
ともあれ、前から読もうと思っていた Philip Hensher の "The Northern Clemency" にようやく取りかかった。去年のブッカー賞の最終候補作で唯一読みのこしていた作品だが、なにしろ738ページの超大作! Steve Toltz の "A Fraction of the Whole" も長かったが http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080918、あれは576ページだったので、こちらのほうがさらに長い。連休中に読み切れるかどうか、今から心配だ。
本書は同賞の発表前、アマゾンUKのレビューや米アマゾンのブログなどを参考に、読んでもいないのにヤマカンで本命に推してしまった苦い思い出がある。で、実際の出来はどうなんだろうという興味が前からあり、ペイパーバック版が出るのをずっと待っていた。
まだ少ししか読んでいないのでもちろん全貌はつかめないが、これはどうやら問題追求型の文学(このブログで採りあげた作家で言えば、ドストエフスキーやメルヴィル、ロレンス、オーウェルなどがこのタイプ)ではなく、さりとて文芸エンタメ路線でもないようだ。
ストーリーの展開は今のところ超スローテンポ。舞台は70年代半ばのシェフィールドで、新興住宅街のある家で催された町内親睦パーティーから幕をあける。その家の息子のムスコを見てご婦人が妄想に耽るなど、なかなかユーモラスな場面もあって楽しいのだが、ロンドンから近所に引っ越してくる一家の話あたりから、なるほど、これでは長くなるのも無理はないと合点。何しろ、引っ越しの移動中の様子まで実況中継されるのだ。あとでその意味が説明されるのかもしれないが、ふつうなら当然カットするところだろう。
やがてパーティーを催した一家の主人が謎の失踪(?)、いよいよ物語が動きだしたかと思うと、今度はその妻の昔話や仕事の話題などにダイグレッション(?)。いやはや、流れに乗って読めるようになるまで時間がかかりそうだ。