やっと面白くなってきた! 第1部は要するに夫婦の痴話喧嘩(?)で、犬も食わない話のはずなのに、そこから派生するエピソードがドタバタ喜劇調。帰りの電車の中で思わず噴きだしそうになった。
自宅で町内親睦会を催した妻は、何かにつけて花屋の主人の話ばかりしている。やがて二人の「怪しい関係」を勘ぐった夫は、しばらく家を飛び出してしまうのだが、夫が帰ってくるまでに起きた事件が笑わせる。主人公は9歳の次男で、この息子は大のヘビ好き。親に内緒でヘビを飼いだしたところまではよかったが、夫が家出してカリカリしている母親に見つかってしまい…
たしかキャロル・リード監督の『落ちた偶像』にもヘビ好きの少年が出てきたような気がするが(グレアム・グリーンの原作は英語で読んだのに失念)、田舎の道に落ちている長い棒っきれを見ただけでギクっとするぼくは、この母親の気持ちがよく分かる。とはいえ、そのエキセントリックな反応は抱腹絶倒もので、それを目撃した妊婦が胃の中身を戻してしまう一件がさらに愉快。
べつに文学的に深い意味があるとも思えないようなエピソードだが、長いこと遠回りしてやっと話が動きだしたところだけに、導入部分とのコントラストも鮮やかだ。今までのスローペースはこの効果を生みだすためだったのか…それにしても、ここに至るまでの50ページくらいは辛抱して読むしかないだろう。
ところで、上とはまったく関係ないが、最近米アマゾンのベストセラー・リストを眺めていて気になるのが、Halldor Laxness の "Independent People"。リストに出たり入ったりしているが、何かあったのかな。ぼくは同書も "Iceland's Bell" も長らく積ん読だが、夏休みにでも読んでみたくなった。
- 作者: Halldor Laxness
- 出版社/メーカー: Vintage Classics
- 発売日: 2008/07/03
- メディア: ペーパーバック
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