ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Steven Millhauser の "Dangerous Laughter"(2)

 結局、ぼくはミルハウザーのよき読者とは言えないのかもしれない。雑感(1)にも書いたように、何しろ彼の本を読むのはこれでたったの4冊目なのだ。全作品を読破している熱烈なファンが昨日のレビューを読めば、けっ、何言ってやがんだい、お前はミルハウザーの本質がわかっとらん! とバリザンボーを浴びせかけてきそうな気がする。
 ただ、ひさしぶりに読んでみると、本書は repeat oneself というやつで、ミルハウザーの作品を読む前にいだく期待を大きく上回るものではなかった。それどころか、今まで彼が築いてきた世界の中で小さくまとまった作品なのではないか…。(こらこら、4冊しか読んでいないのに利いた風な口をきくな、とさっそく反論されそうだ)。
 さらに言えば、昨日のレビューのくりかえしだが、「早い話がこれを読んでも、目から鱗が落ちるような人間に関する発見は得られない。とすれば、こんな異形の世界を創出する意味はどこにあるのだろうか」。何だか身も蓋もない話のようだが、"The Barnum Museum" を読んだときは、そういう疑問はまったく覚えなかった。あちらのほうがショック度が大きかったことも確かである。
 …長くなりそうなので、今日はこの辺にしておこう。