ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"Belong to Me" 雑感(1)

 Marisa de los Santos の "Belong to me" について何とか感想を述べられそうなところまで読み進んだ。彼女のデビュー作 "Love Walked In" は去年のいつだったか、ニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーになり(Trade Paperback 部門)、今年もたしか春先に本書がちらっとリストに載っていたと記憶する。"Love Walked In" を読んだときからずっと気になっていた本書だが、ペイパーバック版が発売されて3ヵ月後にやっと取りかかることになった。これでも積ん読期間は非常に短いほうだ。
 読みだして気がついたのだが、本書は内容的に前作の続編で、主人公はやはり Cornelia という少女なみに小柄な女性。前作で出会って結婚したケーリー・グラントばりの夫 Teo も登場し、舞台も同じくフィラデルフィア…と知ったかぶりのことを書いているが、じつは最初、前の内容をすっかり忘れていた。それどころか、去年書いたレビューを読みかえしても、「二つの物語が一つにまじわる展開」とあるものの、え、そうだったっけ…。http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20081004
 気を取り直して本書に的を絞ると、「愛の賛歌をテーマにした、なかなかゴキゲンな小説」という前作への評はここでも当てはまりそうだ。最近読んだ本で言えば、"The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society" の系列。ただ、あちらよりも、また前作よりも骨格となる物語がちょっと弱いかな。
 夫がフィラデルフィアの病院で勤務医となり、郊外の住宅地に引っ越してきたものの、近所の意地悪そうな女性と出会い、一触即発。ところが、その女性はじつは愛情豊かな人物で、癌にかかった親友の看病につとめている。一方、Cornelia は異常に早熟な少年のことで苦労している女性とも出会い、意気投合。どうやらこれは、「三つの物語が一つにまじわる展開」のようだ。とまあ、何となく物語が「透けて見える」のが気にかかるが、これから楽しい紆余曲折があることを期待しよう。