相変わらずカタツムリの速さ、いや、のろさだが、本書の特徴がいくつか見えてきた。まず、前作 "Love Walked In" が恋愛小説と青春小説の二本柱だったのに対し(いかにもまことしやかだが、じつはあまり記憶がなく、以前のレビュー http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20081004 を頼りに書いている)、ここには幾筋もの流れがある。
ひとつは、主人公の Cornelia と新しい隣人が次第に親交を結ぶ話。相手は二人の女で、どちらも悩み事をかかえており、Cornelia 自身も流産の経験をふりかえるなど、これはまあ女の友情物語といったところか。Cornelia は新たな妊娠の喜びにひたっている最中で、隣人のほうと併せてホームドラマのおもむきも濃厚。
女の友情といえば、相手の一人 Piper は、末期癌に冒された親友の看病のため日夜努力している。当然、闘病生活の記録も綴られ、どこかで見たり読んだりした展開だと思いつつ、やはり涙を誘われる。親友の死後、Piper は夫が別れを申し出るので、これが Cornelia との心のふれあいにつながりそう。
もう一人の隣人 Lake のほうは、今までの身の上話を Cornelia に打ち明けたところ。どうやら別れた夫を捜しているらしい。それを察知した早熟の息子 Dev もクラスメートたちと父親探しに乗り出す。また、前作で Cornelia が世話をした娘 Clare と恋に落ちるなど、青春小説、恋愛小説の路線も継承されている。
…備忘録として主な流れを書きしるしてみたが、こういった話がとっかえひっかえ出てくるので、そのノリに合わせて読んでいるとかなり楽しい。これで求心力のある強烈な主筋があれば文句はないのだが、あまり気にならない。ちょうど去年の今ごろ読んだ "Summer" の作者 Karen Kingsbury と同じような作風だ。ほかにも気のついたことはあるが、今日はこのくらいにしておこう。