ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"A Summer Affair" 雑感(2)

 これはめっちゃくちゃオモロー!(もうかなり古い)。大筋は「不倫話をどんどんドライブしていくだけ」の大衆小説なのだが、さすがにニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストに載っているだけのことはある。
 その面白さの要因を挙げる前に、これはなぜ「大衆小説」なのか、という問題について考えてみたい。なにしろ、世界文学の古典には『アンナ・カレーニナ』、『ボヴァリー夫人』、『チャタレー夫人の恋人』、『情事の終り』などなど、本書と同じく不倫を扱ったメロドラマが目白押し。そういう文学史上に残っている名作と本書はどこが違うのだろう。
 …と大見得を切ったものの、じつはかなり心もとない。『ボヴァリー夫人』なんて中学生のとき読んだきりだし(マセガキだった)、ロレンスもグレアム・グリーンも原書を読んだのは大学時代。『アンナ・カレーニナ』を英訳で読んだのだってもう9年前の夏だ。
 そこで独断と偏見を述べると、男女の恋愛を描きつつ、たとえばロレンスのように愛の本質に迫ったり、グリーンのように倫理の問題に移行したり、といった人間に関する深い洞察が示されるのが純文学、でなければ大衆小説、と分類できるかもしれない。(例によってじつにランボーな言説だ)。
 その点、本書は仕事帰りに最寄り駅近くのドトールで読んでいると、つい夢中になって時間がたつのも忘れそうなのだが、人間に関して、あ、なるほどそうか、という発見が得られることはない。だからこれはやっぱり大衆小説だと思うのだが、この定義に従うと、年に何冊「純文学」を読んでいるのか大いに疑問。文学ミーハーとしては、分類にこだわらず、オモロー!と叫んでいるだけでいいのかもしれない。