ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Love of My Life" 雑感

 Louise Douglas の "The Love of My Life" に取りかかった。たしか今年の2月ごろ、アマゾンUKのベストセラー・リストに何週か載っていた作品で、今検索すると578位で星4つ半。なかなか健闘している。文学ミーハー趣味丸出しで、タイトルとロマンティックなカバー写真に惹かれて買った本を、今ごろやっと読みはじめた。
 まあ、これは今のところ、タイトルどおりのメロドラマですな。夫を交通事故で亡くした女 Olivia が悲嘆に暮れ、夫と双子の弟と関係する。弟には妻子がいる。ありきたりの筋書きだが、どうやらその奥にもっと複雑な事情がからんでいるか、あるいは何か大きな事件が起こりそうな気配が濃厚で面白い。
 以上が現在の話で、これに Olivia の少女時代からの回想が混じる。Olivia は双子の兄弟と幼なじみで、弟の妻 Nathalie とも旧知の仲。といっても、Nathalie は昔から公然と敵意を示し、義理の母も Olivia には冷たい。その理由が少しずつ明らかにされようとしている。
 …と、こんな風に要約すると三文小説のようだが、ぼくはメロドラマが大好きなので少しも気にならない。おまけに、これほど明瞭な(といっても、裏の仕掛けはまださっぱり読めないが)メロドラマだと、いわゆる純文学との違いについて考えるヒントが得られて興味深い。何しろ、かの『アンナ・カレーニナ』や『武器よさらば』だって立派なメロドラマなのだ。では、少なくとも現代文学において、大衆小説と純文学の違いは何なのか。今やナンセンスな問題かもしれないが、この "The Love of My Life" を読みながらボチボチ考えてみたい。