ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Brightest Star in the Sky" 雑感(2)

 年内には片づくだろうと高をくくって読みだした本書だが、このところ「自宅残業」と家の大掃除で忙しく、なかなか思うように進まない。今日も午後から読みはじめ、先ほどやっと 'Day 51' に入ったところ。大晦日と三が日で読了できるかな、酒は飲みたいし映画も観たいし…。
 語り手の「私」の正体は相変わらず不明。ダブリン市内のマンションの住民たちの生活を、それぞれの職場やパーティーの様子などもふくめて実況中継、その中には各人の回想もふくまれるのだが、どうしてそんな芸当が可能なのか説明らしきものはいっさいない。ようやく住民のひとりが、「だれかに壁を通して観察されているような気がする」と洩らした程度だ。
 物語の方向としては、中盤に差しかかった今、拡散と収斂の2つあるように思える。最初は4階あるマンションの各階一人ずつ、計4人が交代で「私」の観察対象となっていたのに、今ではその配偶者や同居人、恋人、元カレ、実家に住んでいる家族、さては飼っているペットまで登場。ペットの犬が飼い主について感想を述べるくだりには、え、こりゃまた何じゃろかい、と驚いてしまった。
 この「私」、幽霊なのか超能力者なのか、全能の神なのか…。ただ、全能ではないらしく、「私」も知らなかった住民たちの実態が少しずつ明らかにされていく。しかも、謎の行動を取りはじめた夫婦もいて、ますますわけがわからない。一方、マンションに住む養母のもとで暮らし始めた地方出身の美男子が、下の階の奥さんに一目惚れ。これがどうも収斂の方向へ発展しそうな気がする。
 何だか支離滅裂な、文字どおり雑感になってしまったが、個々のエピソードは日常茶飯事ながらコミカル、ドタバタ調でかなり愉快だ。おかげで、しばしば中断してもページをひらけばクイクイ読める。明日からがんばって本腰をいれたいところだが、「酒は飲みたいし映画も観たいし」なあ。