ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Children's Book" 雑感(2)

 いやはや、とんだ一週間だった。簡易検査では陰性だったが、インフルエンザなみの高熱が続き、昨日までずっと寝こんでしまった。これを書いている今もまだ何となく熱っぽい。明日からの仕事が思いやられる。
 おかげで本書も長らく中断してしまい、今日からまたボチボチ読みはじめた次第。こんなときこそクイクイ読める本で気分だけでも回復したいところだが、もう第2部もかなり進んだというのに、前回の終わりに期待したような「物語が動きだしそうな兆し」が、ハテあるのやら、ないのやら…ボケボケの頭にはどうもピンとこない。
 前回から今までの範囲でいちばん大きな動きとしては、女流童話作家 Olive の息子 Tom が名門私立校に入ったものの先輩のいじめに遭い、しばらく失踪。やがて発見されたときは、以前の陽気な少年から孤独な世捨て人となっていた、という話だろうか。その Tom に博物館長の息子 Julian がホモ的な恋心をいだくエピソードもあるが、さて、どうなりますか。
 一方、Olive の夫の愛人に子供が生まれ、その愛人が子供を連れてパーティーに堂々と顔を出す始末。そこで Olive も腹いせに小説家と関係する、といったメロドラマの要素も出てきたが、これまた先は長そう。夫が勤めていた銀行を退職、Olive は生計を稼ぐべく創作にいそしむようになり、Tom のアイデアを下敷きにした「影のない王子」の物語が挿入される。が、これもやはり未完のせいか、その意味も小説全体に占める位置も皆目わからない。
 また一方、陶芸家のもとに弟子入りした Philip だが、見事な作品を創作して博物館長に注目されるものの、それ以外にさしたる進展はない。長らく離ればなれだった姉と再会、姉も陶芸家の家に同居するようになったり、陶芸家の娘の一人が館長に芸術の才能を見いだされて館長宅に住みだしたり…。
 ううん、今回も不得要領の紹介になってしまった。それを強引にまとめると、いろいろな縦糸横糸が複雑にからみあい、まるでタペストリーのようにひとつひとつの模様を織りなしていく。その模様にときに見とれることもあるが、そこにどんな意味があるのか定かではないだけに、いざ「物語が動きだ」すまでかなり忍耐が必要。今のところ、本書はそんな小説だ。しかしこれ、本当に動きだすのかなあ。