ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“A Sudden Country” 雑感(5)

 夕べ、昔の友達と青山へシャンソンを聴きに行った。Shizu さんという歌手のリサイタルだったが(http://www.ac.auone-net.jp/~shizu77/)、ぼくには青山もシャンソンも未知の世界。ほとんどお上りさん気分だったものの、音楽のような別次元の芸術にふれることは小説の読み方にいつか、何らかのかたちで反映されそうな気がする。それに、友達とのおしゃべりは「命の洗濯」そのもので、もっともっといい小説を読まなくちゃ、という意欲さえ湧いてきた。
 …とはいうものの現実は厳しく、今日はなんだかボンヤリしながら本書に取り組み、今ようやく第2部が終了。もはや粗筋は書けない。本質だけ紹介すると、フィクションの世界では恋の成就に障害はつきもので、障害が多ければ多いほど面白い。この観点からすると、相変わらず「大枠の見える話」ながら、これはまずまず面白い作品と言えるのではないだろうか。ただ、「恋の成就」といっても、本書の場合は不倫がからんでいる。それゆえ考えられる定石は…
 19世紀中葉のアメリカといえば、当時の作品でほぼ同じテーマを扱ったものはご存じホーソーンの『緋文字』だが、あちらと較べては本書がかわいそうだ。舞台は大昔ながら、今日読んだ第2部には、ああやっぱり現代作家だな、と思わせる恋愛の描き方が認められ、それは倫理の問題とはほとんど無関係。二人がいざハードルを越えてしまうと…いや、ネタばらしはやめておこう。