旅行3日目。知床五湖〜小清水原生花園〜網走〜サロマ湖という日程。網走市内の「中鮨」で食べたお寿司がとてもおいしかった。
第6話 "Our Lady of Paris" は、今までの本書の流れとしてはかなり異色の短編。舞台がラホールからパリに飛び、主人公もパキスタンの一般庶民ではなく、アメリカ人の若い女性だ。この女が毎度おなじみの地主の息子とつきあっているという設定で、くだんの地主が顔を出す点だけ今までの話と共通している。
ぼくはこの第6話がとても気に入った。若い二人はまだ将来どうするか決めていない。アメリカとパキスタンのどちらに住むのか。いやそもそも、結婚するのかどうか。そんな不安をかかえながら、女は冬のパリで相手の両親と初めて顔を合わせる。そこで出した結論は…。冬ざれたパリの街並みや田園の風景が女の心理とよくマッチし、静かに揺れ動く感情のさざ波がすばらしい。パキスタンの地方色豊かな今までの作品もいいが、短編としての熟成度はこれが群を抜いているのではないか。
本当はあとひとつ読んでから感想を書こうと思ったのだが、次の話はちょっと長そうだし、今晩はホテルで酒を飲むことにしている。バスの中で日記をつけたのはこれが初めてだ。