ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Room”雑感(2)

 昨日はやっぱりバテバテで、思ったほど読めなかった。今日もお疲れモードだが明日から3連休。景気づけに一杯やる前に雑感の続きを書いておこう。
 これは今のところタイトルどおり、ある家というか小屋の部屋の中だけで起きる出来事を描いた正真正銘の室内劇である。登場人物は、5歳の誕生日を迎えたばかりの幼い少年と、その若い母親。どうやら母子家庭らしいが、夜になると時々、部屋を訪れる男がいる。
 物語はすべて少年の視点から語られ、少年の発想らしく、オモチャをはじめ壁や天井、家具調度など、室内で少年が目にしたり、手に取ったりするものはどれも固有名詞化され、人称代名詞で呼ばれる。それだけ少年は室内のものに愛着を覚えているわけだが、逆に言うと、室外にあるものは好奇心の対象ではあっても、およそ非現実の世界に属している。無理もない。この部屋には天窓しかなく、外の様子がまったくと言ってよいほどわからないのだ。訪れる男を除けば外界との接触をいっさい断たれ、親子はいわば監禁生活を送っているのである。
 なぜそんな状況になったのか。次第にその種明かしがされるところまで今日は読み進んだが、とにかくこの異常な舞台で起きる出来事、語られる物語はほとんどぜんぶ、少年と母親の会話と行動からのみ成り立っている。二人は言葉遊びをしたり、室内にあるものを巧みに利用してゲームをしたりといった生活。そこへ波風を立てるのが母親と関係のある男で、彼は二人のリクエストに応じていろいろなプレゼント、といっても食べ物や日用品のたぐいを届けているようだ。
 状況の異常さはさておき、ぼくがまず惹きつけられたのは、少年が母親に示す愛情、男の訪問中にクローゼットの中で待機しているときの孤独感、その純真無垢な心が現実を理解しようとして生じる子供らしい葛藤などである。そんな話題に感情移入できる人にとっては、これは冒頭から胸を締めつけられるような作品ではないかと思う。
 ぼくもまあホロっとなることはあるのだが、たとえばゲームなど、何度も同じような話が繰り返されるのでちょっと食傷気味だなあ、と思っていたら種明かしが始まった。テーマ的に深い内容が待っているとは思えないが、展開としては面白くなりつつある。さて、連休中にがんばって読みましょう。