予定では昨日読みおえるはずだったが、さっぱりペースが上がらず途中であきらめ、あと1日はかかりそうだ。おととい飲み過ぎたのも一因だが、正直言って本書はかなり退屈です。その後、「何だかどうでもいいような話」ではなくなったのはいいけれど、これ、何とかならんのかね、と思いながら放りだしてしまった。
中年のイケメンがいちおう主人公だが、二人の旧友もそれぞれ交代で登場するので三人が主人公と言ってもいい。とにかくイケメンが追いはぎに襲われ、そのとき耳にした言葉をきっかけに自分はユダヤ人と間違われたのかと思いはじめ、急速にユダヤ人への関心を強める。ユダヤ人になろうとさえする。旧友の一人の遠い親戚にあたるユダヤ人女性と知りあって同棲を始め、今のところハッピーな生活だ。
一方、もう一人の旧友のユダヤ人哲学者は、イスラエルとの関連で「ユダヤ人であることを恥じているユダヤ人」の団体を結成。ユダヤ人としての存在意義、帰属意識、アイデンティティなどの問題が語られる。3人が住んでいるロンドンではユダヤ人への迫害事件も発生、とにかく中盤は、ほとんどどのページをひらいてもユダヤ人の話ばかり。
ここでいちばん問題なのは、この話題がユダヤ人もしくはユダヤ人に関心のある人間だけでなく、もっと普遍的に読者の共感を呼ぶような書き方がなされていない、という点である。少なくとも、ぼくにはそうとしか思えない。小説ではないが、ジョージ・スタイナーやハンナ・アレントの著作ではそんなことはありえない。
…でもまあ、きっとぼくの読み間違いでしょう。これから最後、大いに盛りあがることを期待したい。