ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Jamie Ford の “Hotel on the Corner of Bitter and Sweet”(1)

 金曜日の晩はいつもワインを飲むことにしているのだが、今日は本書の続きが気になるのでボトル半分だけ。しばらく酔いを覚ましてから取りかかり、涙をこらえながら読了した。
 本来ならレビューを書くまわりだが、今日はもう時間がないし、まだ少々酔いが残っているせいか、レビューを書くのに必要な、作品とのあいだに置くべき適度の距離を取れそうにない。というか、このまま読後の余韻にひたっていたい。それほどぼくは本書にのめりこんでしまった。
 とりあえず、読後の落ち穂拾い的な駄文だけ先に綴っておこう。これは目下、ニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー第11位にランクイン中で、発行されたのは去年の10月とのこと。ぼくは翻訳事情にうといし、面倒くさいのでネットで調べる気もしないが、もしかしたらもう邦訳が出ているかもしれない。もしまだなら、これは売れ筋ですよ!(などと、こんなマイナーなブログで叫んでもナンセンスだけど)。
 ともあれ、本書の何よりすぐれている点は、第二次大戦中の日系アメリカ人の強制収容という重大な事件を取りあげながら、それを政治問題化せず、事件に遭遇した中国系アメリカ人の少年と日系の少女の結びつき、少年とその両親や息子、友人との関係を通じて、純粋な愛情や友情の美しさをストレートに描いていることだ。それが理屈ぬきに胸を打つ。
 それから…いや、今日はもうやめよう。娘が早く風呂に入れ、と言うもので。