ううむ、こういう秘密の「ベールが少しずつはがされ」るような展開の小説は、どうも途中経過を報告しにくいですな。どこまで書けばネタばらしにならないのか難しいし、それより何より、いくら「かなり回りくどい」といっても、それをじっくり味わってこそ楽しいのであって、そのダイジェスト版を作成したところで面白くも何ともない。
たとえば、主人公である娘の父親にはどうやら戦争体験があり、それが深い心の傷になっているようだ。その the war がじつはもう…戦争のことだと分かっているのだが、さて、これをバラしていいものかどうか。
ともあれ、娘は幼いころ、毎年夏になると姉ともども、オンタリオ州の人工湖のほとりにある Henry の家で過ごしていたが、今や大人になった今年の夏は思い出にふける以外に格別の意味がある。その家で父親が死を迎えようとしているからだ。娘はさりげなく尋ねる。Henry の息子で父親の友人 Owen は戦争でどんな死に方をしたのか。
やがて娘の回想に父親の回想が混じり、話はいっそう回りくどくなる。だが、ノスタルジックな語り口に父親への愛情がそこはかとなく感じられ、悲哀と喪失感がただよっている。娘自身、傷心の身なのだ。
…やっぱり難しい。もう少しスタンスを決めてから書くことにしよう。