ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Empty Family”雑感(4)

 おととい京都から帰ってきた。おみやげは定番の八つ橋やちりめん山椒などのほか、かみさんのリクエストで米とパンとカップ麺。いずれも近所のスーパーマーケットでは入手困難だという。そういえば、奈良・京都でも単1電池は完売。被災地や首都圏でもないのに、いったい誰が買っているんだろう。
 昨日はさっそく計画停電の影響をもろに受けた。わが家のトイレは電動式。手動も可能だが流水量が少ない。そこでスーパーに足を運んだが、停電グループが違うはずなのに閉店中。仕方なく、今度は近所の中学校まで用を足しに出かけた。
 また夕食は、食料に少し余裕のあるときほど我慢しようと思い、作りおきの野菜炒めと、わずか1個だけ残っていたミニカップ麺。旅行中のホテル食で2キロも太ったのでラッキーと言うべきだが、それにしても暗い中での食事は温かい汁物があるだけで違うと実感。京都で買った乾麺だけでは足りないので、たまたま四国の田舎から上京してくる弟に追加を依頼した。
 というわけで、旅行中に読みおえようと思っていた本書も、出来ばえはすばらしいのにさっぱり気が乗らず、前回からたった2話しか進んでいない。フィクションの次元を超えた現実に接すると、なかなかフィクションを楽しめないものだ。
 とはいえ、ここが洋書オタクの踏んばりどころである。これを書いたら気分一新、気合いをいれ直して読みつづけようと思っている。そこで今日は、2話の印象だけ簡単に述べておこう。
 第5話 "The Pearl Fishers" は、主人公の男がダブリンのカトリック学校時代、禁断の関係におちいった相手と再会、その妻がまた禁断の関係を男に告白するというもの。男が家族のふれあいを拒否する点でやはり、empty family のテーマが流れている。「禁断の関係」が読みどころのほか、孤独に生きようとする男の決意がいい。
 第6話 "The New Spain" も empty family と自立がテーマと言える。スペインのフランコ独裁時代、共産党員として活動したかどで逮捕された娘がロンドンから久しぶりに帰国。他界した祖母から姉ともども、マヨルカ島にある屋敷を相続したが、祖母は娘の両親には遺産をのこさなかった。それゆえ娘と両親の対立が生じている。奔放で独立心の強い娘の生き方が印象深い。