恥ずかしながら Cynthia Ozick のことも最近まで全然知らなかった。彼女はけっこう有名な作家らしく、本書の読後、すでに邦訳が出ていることを発見した。

- 作者: シンシアオジック,Cynthia Ozick,東江一紀
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1994/03
- メディア: 単行本
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読みはじめてすぐに気がついたのだが、これはテーマ的に "The Invisible Bridge" と同系列の本で、それは "Comedy...." にも当てはまる。とはいえ、3作のおもむきは、とりわけ大河小説の "The Invisible Bridge" と短編集である本書の作風はずいぶん異なっている。
これはレビューにも書いたとおり、迫害を受けたユダヤ人の「心の傷の痛み」という一点に的を絞ったアプローチだ。当時の悲劇と後日談からなるこの小品集は、まさしく「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というやつで、えぐりの鋭さは、なかんずく表題作のほうは、"The Invisible Bridge" にも決して引けをとるものではない。同書の深い感動がさめやらぬうちに読んだのもよかった。ある本を読んだあと、自分が知らない作家の関連書も読むというのは、洋書オタクのあるべき姿のひとつですな。