ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Stranger's Child” 雑感 (3)

 ずいぶんブログをサボってしまった。先週はここ数年でいちばん忙しい1週間で、帰宅後、夜中の2時ごろまで仕事をしてから朝は普通に出勤。土日は久しぶりに休めたものの、終日うたた寝ばかり。とても活字を追いかける気がしなかった。
 というわけで、本書を読むのは今日から再開。今週はさすがに先週ほど忙しくないはずなので、何とかこの1週間で片づけたいものだ。
 第2部は "Revel" と題され、主人公の Daphne が Revel なる人物に手紙を書いている場面から始まる。が、この Revel が果たして何者なのか、2人がどんな関係にあるのかはなかなか明かされない。しかも、Revel をはじめ、ここにきて新顔が何人も登場し、しかもそれが Revel 同様、しばらくストーリーを追っているうちに初めて正体がわかるという展開で、ぼくのように中断して取り組むと、ますます人物関係がつかみにくくなる。が、そのわりに今日は面白かった。一気に読めばたぶん、霧の中から次第に話の見えてくる過程がもっともっと楽しいはずだ。
 主人公は Daphne と書いたが、じつはそうとも言い切れない要素もある。第1部で娘時代の Daphne が恋に落ちた青年詩人、Cecil も重要な役割を果たしているからだ。ネタをバラさない程度に紹介すると、第2部に出てくる人物は誰もがみな、Cecil を中心に動いていると言っても過言ではない。Cecil と Daphne の恋愛模様もそのひとつだが、これは本当にそのひとつに過ぎず、ほかにもっと複雑で陰翳の濃い関係もいくつかからんでいる。その中に Hollinghurst の十八番とも言える「その筋の話」もあるわけだ。
 ただ、「その筋の話」に加えて、さらにまた、べつの禁断の世界もここには広がっているようだ。その性的な暗示と平行して、時にドタバタ気味なほどコミカルな出来事も相変わらず起きている。それが本書の特色のひとつだろう。
 ともあれ、第2部まで読んでもまだまだ「長大なイントロ」の感が強い。これから順調に読みすすめるといいのだけど…