ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Alan Hollinghurst の “The Stranger's Child”(2)

 今年の夏は、今の職場にいるかぎり4、5年に1度やって来る繁忙期で、本来ならお盆でノンビリできるはずなのに、この土日も「自宅残業」。それでも昨日は、ここで本書を片づけなければついに挫折してしまう、と覚悟を決め、朝から取り組んだ結果、何とか読みおえることができた。何だ、やればできるじゃん。
 これ、前にも書いたとおり、ロングリストの発表前から今年の大本命では、と下馬評の高い作品で、発表前日のガーディアン紙の予想でもトップに挙げられていた(ほかはほとんど外れ)。今ざっとネットを検索したところ、いつも外れる William Hill の予想でも第1位。ちなみに、Ladbrokes では第3位。読後のぼくの印象は、へえ、ちょっと評価が高すぎるんじゃないの、といったところだ。
 ボチボチ、ダラダラ読んでいるうちに、2004年の受賞作、"The Line of the Beauty" のことを思い出した。あちらはほんとうに挫折してしまったのだが、その理由は、今と同じくらい多忙だったことにくわえ、たしかに面白いことは面白いけれど、これなら途中で放り出してもいいのでは、という気がしたからだ。今回もそうだ。しかし、2度も同じ作家で挫折してはいけない、と「覚悟を決め」たわけだが、ときどき結論だけ参考にしている、あちらのブロガーたちの記事を斜め読みしても、ぼく同様、「ボチボチ、ダラダラ読んだ」読者もいるようだ。何だ、ネイティヴでもそうなんだ、と思うとホッとします。
 今年の候補作を読むのはこれが初めてだが、当たるも八卦当たらぬも八卦、ずばり予想すると、たぶんショートリストには間違いなくのこるだろう。ひょっとしたら、栄冠に輝くかもしれない。ぼく好みの作品ではないですけどね。なにしろ、去年の "The Finkler Question" といい、07年の "The Gathering" といい、ブッカー賞では、選考委員とはかなり波長が合わないなあ、と思うことが多い。さすが、お目が高い、とうなってしまう年もありますが。
 …もっと本書の内容について書こうと思ったが、とにかく忙しいので今日はこれにて。