ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Galore” 雑感 (2)

 相変わらずピッチは上がらないが、それでもたぶん、粗筋を書くとネタばらしになりそうなところまで読みすすんだ。そこで今日は、本書を素材にしながら、小説の採点ということについて考えてみよう。
 これは今のところ、☆☆☆★★くらいかな、と思う。この採点法は、故・双葉十三郎氏の『西洋シネマ体系 ぼくの採点表』にのっとったもので、☆☆☆★★は「読んでおいて(映画なら、見ておいて)いい作品」。
 これに★が1つ増えると「上出来の部類」に入るのだが、フタバ氏の採点は辛口で有名だった。なにしろ、あの「カサブランカ」や「お熱いのがお好き」が☆☆☆★★★だったのだから。ぼくなら躊躇なく、☆☆☆☆(ダンゼン優秀)を進呈するところです。
 だが、ぼくの生涯ベスト10映画に入りそうな「フェリーニのアマルコルド」は、フタバ氏によれば☆☆☆☆★。なるほど。たしかに「アマルコルド」と較べると、「カサブランカ」はちょっと落ちるかもしれない。どこがどうマズイのかは説明しにくいけれど。
 ひるがえって最近、ぼくは読んだ本をこの方式で採点するようになった。基準は非常にアイマイだ。というのも、映画と小説をなんとなく同じように扱い、フタバ氏の採点を思い出しながら、あの映画が☆☆☆★★だったのだから、この本もそうだな、といった調子なのだ。たとえば、「ゴールドフィンガー」が☆☆☆★★★で、「サンダーボール作戦」は☆☆☆★★なので、うん、じゃあこの "Galore" も、途中経過としては☆☆☆★★かな。
 最初はこの「基準」さえもなかったが、こう考えると少し点をつけやすくなった。そこで、今まで何冊か採点した本をふりかえり、Stephen Kelman の "Pigeon English" と Esi Edugyan の "Half Blood Blues" について、元の評価☆☆☆★(読んでいいが少し落ちる)に★を1つ追加したわけです。ブレがいっさいなかったフタバ氏とは大違いで、まことにお恥ずかしい。
 「小説の採点ということについて考えてみよう」などと、大見得を切った割には内容のない話になってしまった。でもこれ、小説オタクのお遊びにはちょっといいかも、と思ってます。