ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Chad Harbach の “The Art of Fielding” (2)

 「ああ面白かった!」と昨日のレビューに書いたが、「ああ、やっと読みおえた!」というのも偽らざる実感だ。なにしろ、先週までずっと職場が繁忙期で、1日8時間パソコンの打ちっぱなしということも日常茶飯。おまけに、血圧は上がるは風邪を二度も引くはで、平日はとてもじゃないが読書意欲がわいてこなかった。おかげで本書に取り組んだのは毎週ほとんど日曜日だけ。活字中毒のぼくには異常事態で、本書の主人公 Henry と同じく大スランプだったと言っていい。
 唯一の救いは、前にも書いたが、ぼくの部署が途中ながら、過去にない業績をあげたことで、年明けから始まる最後の繁忙期をしのげば、今年度は「終わりよければすべてよし」ということになるかもしれない。
 こんなときの娯楽は頭を休めるものを、ということで、ふだん家に帰ってからは音楽とアクション映画、それにコミック。季節柄、「バイロイトの第9」を聴いたり、かみさんにつき合って007やスパイ大作戦を観たり、「ワンピース」を総集編で読んだりしていた。隠居したらきっと、そんな毎日になるんだろうな。「これからの人生を良く生きようと思う」という旧友の言葉が耳に痛い。
 閑話休題。上のような状況だったので、本書をまともに読んだとは決して言えないが、それでもこれはほんとうに「面白かった!」 1週間に半日だけでもクイクイ読めたのだから、一気に読んだらさぞ夢中になったことでしょう。点数評価としては、そのあたりも考慮して、☆を4つ進呈した。さらに★を追加しなかったのは、たとえばドストエフスキートーマス・マンの小説だったらいつかまた読みたいけれど、本書の場合、いくら面白くても再読しようとまでは思わない、というへそ曲がりの理由が大きい。これを説明すると長くなるので今日はこのへんで。