ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Into the Darkest Corner” 雑感 (2)

 気分がすぐれないまま読んでいるのでピッチは上がらないが、だいぶ本書の目鼻がついてきた。まず昨日の訂正。2004年の事件は「概要すら不明」と書いたが、どうやら Lee が恋人の Catherine に暴行を加えたものらしい。ただ、詳細は不明なので、ほかにもっと何かあったのかもしれない。
 それから、昨日は書き忘れたが、2003年と2007年の物語が平行して進む前に、2001年、Naomi という女が正体不明の男に惨殺されるという短いエピソードがある。これがどんな意味をもつのか、当初はさっぱりわからなかった。が、次第に何となく読めてきたところ。
 2つの物語も少しずつ主筋や人物関係が見えてくる展開だ。2003年の舞台はランカスター。Catherin は陽気で活発な美人だが、遊び好きで男関係も多い。そんな彼女がクラブのドアマン、Lee と出会い、やがて恋仲となる。Lee はクラブ以外にも仕事をもっているが、その内容を明かそうとしない。最初は熱々の二人だったが、そのうち Lee は粗暴な一面を見せるようになり、Catherine に無断で家に入りこむことも。
 2007年の舞台はロンドン。Catherine は内向的で、病的なまでに警戒心が強い女に変貌している。何度も何度も戸締まりも確認しなければならないほどだが、同じ借家に住む心理療法医の Stuart と親しくなり、彼の勧めで治療を受けることになる。そんなある日、警察から一本の電話が…。
 …ずいぶんヘタクソな要約だが、これはミステリの中でもサスペンスに属するものだろう。そのせいか、文体や展開の仕方、人物造形、心理描写など、今のところ、それほど純文学とは変わらないように思える。純文学でもミステリアスな作品はけっこうある。ただ本書の場合、そのミステリは明らかに犯罪に関係している。だからこれは「ミステリ」作品なのだ。
 …などと平凡で些末なことを考えました。どちらの物語も次第に、何かとんでもない事件へと向かって進んでいるようだ。さてどうなりますか。