先週の月曜日、愛媛の田舎で長らく療養中だった父が永眠した。急遽帰省し、水曜日に葬儀。そのあと、お寺や役所関係などの事後処理に忙殺され、とうに読みおえていた本書のレビューがなかなか書けなかった。昨年のニューヨーク・タイムズ紙選最優秀作品のひとつである。なんだか印象がぼけてしまったが、とりあえず松山のネットカフェでこれを打ちこんでいる。今夕、横浜に帰ってからチェックすることにしよう。
[☆☆☆★] 1980年代のニューヨークと
ヴァージニア州の田舎町を舞台に、ドラッグ、ハードロック、暴力、セックスなどが盛りこまれたアングラ色の強い青春小説。衝動的な高校生たちの行動が活写されるうちに、複雑な家庭環境におかれた孤独な人物像がまず浮かびあがる。やがて少年の一人が
麻薬中毒で死亡、少女が妊娠するなど突発的な事件が相次ぎ、恋と友情、傷心、後悔、自責の念といった青春の心の嵐が吹き荒れる。お決まりの展開だが、とにかく彼らは
マリファナを吸いまくり、
エレキギターをガンガン鳴らし、ボカスカ殴りあう。ゲイや違法なタトゥーの世界も入り混じり、あのころはみんな大いにハメをはずしたものだ、というノスタルジックなメッセージが伝わってくる。それに共感ないし感動を覚えるか否かは、読者自身の個人的な体験にかかっているような気がする。英語は活き活きとしたノリのいい文体だが、語彙的にはややむずかしいかもしれない。