ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Weird Sisters” 雑感

 Eleanor Brown の "The Weird Sisters" に取りかかった。もっか、ニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー第19位。米アマゾンでもレビュー数203で星4つと、かなり人気を博しているようだ。入手したのは先月の初めで、これまた性懲りもなく、印象的な表紙に惹かれた「見てくれ買い」である。要は、売れっ子のカワイコちゃん。このところハズレつづきのパターンだが、今回はどうでしょうか。
 おそるおそる読みはじめたところ、序盤はけっこう快調でホッとしている。今年読んだ本の中では、Jeffrey Eugenides の "The Marriage Plot" の文体に近いかな。あちらの雑感にぼくは、「何より英語のノリがいい。各人物の行動を描くときはテンポよく、心理にかかわるときは緻密な表現で、会話には適度のユーモアがまじる」と書いたが、これはおおむね "The Weird Sisters" にも当てはまる。
 テーマはまだよくわからない。舞台はオハイオ州の田舎町で、長らく外へ出ていた3姉妹が実家に帰ってくる。乳ガンをわずらった母親のことも心配だが、実際はそれぞれ自分の悩みをかかえている。長女は婚約者との遠距離恋愛の先行きが怪しく、次女は使いこみがバレてクビ、3女は行きずりの男と関係して妊娠。どうでもよさそうな話ばかりだけれど、「女3人寄ればかしましい」とはよく言ったもので、3姉妹の騒がしいぶつかり合いがけっこうおもしろい。それを通じて各自の内面が次第に浮かびあがってくるという展開だ。さてどうなるんでしょう。