このところ土日も仕事に追われ、なかなか思うように本が読めなかった。そんなときでもクイクイ読める本ならいいのだが、本書の場合は必ずしもそうではなく、波に乗ったかと思うとついウトウト。印象的な表紙に惹かれた今回の「見てくれ買い」、半分ハズレといったところだろうか。
一方、半分当たりとも思うのは、ぼく自身、「波に乗っ」て読んだくだりもあったし、こういう家庭小説が大好きな読者がいてもべつにフシギではないからだ。事実、いま検索すると、米アマゾンではレビュー数209で星4つ。「ごく平均的な現代のホームドラマ」ではあるが、それだけになおさら、そうそう、そうなのよ、と身につまされる女性読者も多いのではないかと推測する。「仕事か結婚か。…子どもを産むべきかどうか」というのは、女性にとってはかなり深刻な問題であるはずだ。
そういう点を認めつつ、べつにぼくが男だからというわけではなく、本書はある時点で急速に読書意欲がうせてしまった。「テーマはまだよくわからない」とボヤいていた「序盤はけっこう快調」だったのだが、遅まきながらテーマが見えたとたん、いくら勘の鈍いぼくでも、その後の展開も結末も予想がついてしまったのである。
そのテーマとは、上の女性ならではの問題もふくめて、「いかに自分を見いだすか」、トラウマからどう立ち直るか、ということだと思う。その解決の仕方はなかなかハートウォーミングで好感がもてる。ただ、「他人の善意にふれ」るのがきっかけ、というのはよくある話で新味がない。それともそれはヒネクレた見方なのでしょうか。
ともあれ、何度も言うように、本書は「ごく平均的な現代のホームドラマ」である。そう割り切って読めばおもしろく、何だそんなものか、と醒めてしまえばつまらない。ぼくはまあ醒めた口。読者の好みがわかれる作品だろう。