ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Foreign Bodies” 雑感 (1)

 世間は3連休の初日だと思うが、ぼくは出勤。それなりに忙しい1日だった。ただ、真面目な文学青年と久しぶりに顔を合わせ、いきなりマニアックな話になってとても楽しかった。気が向いたら、そのうち友人たちにも声をかけてみようかな。
 このところ今年のオレンジ賞候補作、Cynthia Ozick の "Foreign Bodies" をボチボチ読んでいる。いつもはそれほど熱心には catch up しない賞だが、本書は "The Shawl" の著者の最新作ということで、発表前からずっと気になっていた。それなのに落選と聞いてあと回しとは面目ありません。
 これ、語り口はなかなかいいですな。"Ready Player One" を読んだ直後だけになおさら、そうそう、これがブンガク的表現っていうものですよ、と声を大にして言いたくなる。たとえば、帰りのバスの中で目にしたのが、So they came together that afternoon, Lili and Julian, between ridicule and condescension, between vacuousness and uproar. (p.104) というくだり。ほかにもっといい例があったはずだがメモっていない。とにかくインテリジェンスを感じさせる格調の高い文体で、詩的で感覚的な表現が目だつ。知人のアメリカ人なら、ニヤっと笑って mentally hard と言いそうだ。
 内容もわりとむずかしい。とんでもない勘違いのような気もするけれど、大げさに言えば、各人物がどうやら存在の根底を発見ないし確認しようとしているようだ。つまり本書のテーマはアイデンティティの追求かもしれない。…と、ここまで書いたところで晩酌タイムになってしまった。中途半端だが今日はこれにて。