今日も午前中は仕事に励み、昼から読書。夜は映画を観ることにしているので、大急ぎで昨日の続きを。(いいなあ、お盆休みって)。
8月にブッカー賞の候補作を何冊かまとめて読むようになったのは最近のことだが、いつも必ず1冊は大作があるもので、今年は本書がえらく長い。去年の "The Stranger's Child" はやたら長いだけで、読んだ時間を返してくれと言いたくなったが、おととしの "The Thousand Autumns of Jacob de Zoet" は読みがいがあった。さすがは David Mitchell である。それにくらべ、この "The Yips" は今のところ、そんなに時間をかけるべき作品なのかな、という気がしている。
今日はやっと中盤に差しかかったが、正直言って、いまだに全容はつかめない。その理由は、今まで読んだ範囲で判断するかぎり、これが「トーク小説」とでも呼ぶべきヘンテコな作品で、全編これ、オシャベリにつぐオシャベリだからだ。その話題としては、ダイグレッションにつぐダイグレッションと言ってもいい。
第1章は、プロゴルファー Ransom 中心の会話と、2人の女性の会話から成り立っていたが、その後、会話の流れはどんどん広がり、あるいは混じりあい、まるでオシャベリの多次元同時中継みたいだ。それが少しずつ一定方向へ流れつつはあるのだが、中盤も近いのに確たる展開とは言えない。しかも、デート中に糞づまりの犬がやって来ただの、女性の pubic hair をタトゥーで彫りこむだの、ここにこうして記録するのもアホらしい失笑もののお話ばかり。おまけにアクションはドタバタ。それに何の意味があるのだろうと思うと、訳がわからないまま、「そんなに時間をかけるべき作品なのかな、という気がして」くる。ひとつひとつの「アホらしい失笑もののお話」はけっこうおもしろいのだけど、いやはや、たいへんな小説です。