ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

T○○ T○○○ E○○ の “○○○○” (5)

 今日は本来なら Pavese について駄文を綴るまわりだが、昨日の一件がどうしても引っかかる。タイトルは、抗議の意味で伏せ字にしました。
 さて、もしかしてハッキングがからんでいるのではと思い、知人の専門家に問い合わせたところ、「ハッキングではなく、検索エンジンによる情報操作」だという。まず、問題の記事に、「南○○○殺とかいったキーワードが入っているので、バイアスがかかっている」のだそうだ。
 その後、知人が何回か記事を検索したところ、やっと出てくるようになったので、「プログラムで採点付して、状況を見て順位を入れ替えている」のではないかという。たしかに、今検索してみると、作家名でも作家名+ブログ名でも一連の記事が読めるようになっている。該当項目なしだった昨日とは大違いで、削除は明らかに「検索エンジンによる情報操作」だったわけだ。
 ちなみに、アクセス情報を確認したところ、9月22日と24日には、作家名から問題の記事にたどりついた人がいた。してみると、25日以降いつのまにか、作家名では記事が読めないように操作されたことになる。偶然の一致だろうが、22日から24日にかけて、最近何かと話題の多い某国からめずらしくアクセスがあった。知人によると、その某国の検索エンジンでは、当該記事は「全く見えなくなっています。インターネットで見えないものは、無かったことになる。この辺りは1984と同じです」。
 某国はさておき、わが国の検索エンジンでも「無かったことに」する情報操作がおこなわれているとは、なんだか空恐ろしい。同僚に話したところ、ことなかれ主義ではないかというのだが、もしそれが事実なら、政治家はともかく民間企業までが右へならへということになり、まったく恐れいる。
 一連の記事(9月10日、12〜15日)を読めばわかるとおり、ぼくは南○○○殺や従○○○婦について否定も肯定もしていない。「よしんば事実として」と書いただけだ。また、その作家の人間観にたいし、「なんと皮相浅薄な人間の見方か」と述べているが、それは彼が「人間を簡単に善玉と悪玉に分けてしまう人間観」の持ち主だからである。そういう「図式的な人間観は、図式的な歴史観にも通じている」とも書いたが、そのあたり、ぼくとしては言葉を選んで慎重に論じたつもりなので、もし仮にそれを誹謗中傷という人がいるのなら、拙文をよくお読みくださいと答えるしかない。
 しかも、レビューの最後はこう結んでいる。「作者の歴史観、人間観に共鳴できる読者も多いはずで、本書はおそらく読者によって評価が分かれるという意味でも問題作だと思う」。つまり、ぼくはぼくとは違う考え方をする人たちの存在を認めているわけで、その人たちの言論を封殺しようなどという意図はいっさいない。ところが、この世には反対意見を平気で「無かったことにする」動きがある。今回の情報操作事件もその一例ではないかという気がする。