どうやらスパイの話らしいという記事を見かけて入手した本書だが、これは今のところ、いわゆるスパイ小説ではない。たしかに主人公はイギリス情報部員(情報局保安部員)の女だが、地位的には下っ端で、任務もスパイ活動と言えるかどうか怪しい。主な事件も恋愛沙汰ばかり。
開巻、Serena Frome という女性の回想がはじまる。40年近く前、イギリス機密諜報部の秘密任務に失敗し、勤めて1年半でクビ。同時に恋人も破滅させたという。
これがマクラで、そのあと彼女の身の上話がつづく。東西冷戦さなかの1972年、ケンブリッジ大学の学生だったとき、小説好きの Serena はオーウェルなどを読みふけり、反共へと傾斜。やがて、ボーイフレンドの指導教授である諜報部員の目にとまり、政治や外交について特訓を受けたあと、諜報部に入って事務仕事。
いろいろな男と関係するが、はっきり書かれている相手は上のボーイフレンドとその指導教授で、後者とは不倫。同僚の部員とも恋愛遊戯にふける。そして、Serena が初めて受けた本格的な任務で出会ったのが4人目の男 Thomas Haley。まだ駆け出しの若い作家だが、Thomas をはじめ、反共活動に協力してくれそうな有望作家をひそかに財政的に支援しようという Sweet Tooth 作戦のターゲットである。もちろん Serena は Thomas に任務と正体を明かすわけにはいかない。
……相変わらずヘタクソな紹介だが、けっこう濡れ場が多くて楽しい。あ、これはエロじいさんの感想ですな。