ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Beautiful Ruins” 雑感 (1)

 Jess Walter の "Beautiful Ruins" をボチボチ読んでいる。パブリシャーズ・ウィークリー誌が選んだ昨年のベスト作品のひとつで、例によって紹介記事も読まず、ジャケ買いしたものだ。
 きょうは出勤日で、かつ晩酌デーでもあったので、まだろくに進んでいないが(これを書いているのは深夜だ)、いまのところ、けっこうおもしろい。
 ぼくは知らなかったが、イタリア北西部の地中海に面したリグーリア海岸(いわゆるイタリアン・リヴィエラ)に、チンクエ・テッレ (Cinque Terre) という世界遺産にも登録されている有名なリゾート地がある。5つの村からなるそうだが、本書の舞台はその隣り村で、チンクエ・テッレ同様、断崖絶壁の上(あいま?)にあるという設定だ。架空の村かもしれない。まずこの舞台がいい。
 交通手段といえば海路、ボートしかない陸の孤島のようなこの村で、Pasquale という青年が父の死後、小さなホテルを経営している。そこへやって来た「死にかけの」アメリカ人の女優 Dee Moray に、Pasquale がひと目ぼれするのが第1章。1962年の話で、Deeは、制作中の映画『クレオパトラ』に出演しているという。
 第2章の舞台は現代のハリウッド。上の話で Dee の面倒を見ていたアシスタントの Michael Deane がその後、大物プロデューサーとなり、いまでこそ落ち目だが、彼のもとに映画の企画を売りこみに来る人間があとを絶たない。それをさばくのがアシスタントの Claire で、ひょっとしたら彼女がヒロインかもしれない。その Claire の前に現われるのが、いまや老人の Pasquale で、50年の空白後、Dee を探しにやって来たという。
 ……中途半端な紹介だが、もう1時半近い。眠くなったのでおしまい。