ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Where'd You Go, Bernadette” 雑感

 まず、きのうの補足から。ぼくはヒストリカル・イフにはまったく意味がないと思っている。「もしヒトラーが誰かに殺されていたら悲惨な戦争は起こらなかっただろう」。そのとおりかもしれないが、そうでないかもしれない。なんの根拠もない仮定だ。いくら窓際族のぼくでも、そんなことについて考えるヒマはない。
 パラレルワールドについても同様だ。「自分の生きている現実以外に、またべつの現実が存在するかもしれない」。これまた、「そのとおりかもしれないが、そうでないかもしれない」。パラレルワールドが実在するという物理学的な仮説もあるようだが、ぼくにはおそらく理解不可能だろう。興味もまったくない。
 けれども、たとえば、おなじ人間がドイツでは熱狂的なナチス党員でありながら、イギリスでは反ナチズムの旗頭をつとめる、というのはどうか。それも両者の矛盾を強調しながら、極端に戯画化してえがく。ドタバタ喜劇を通じて、正義と不正義、誠実と不誠実、正気と狂気の問題について掘り下げていく。そんなパラレルワールドだったら大歓迎である。大いに必然性のある設定だからだ。ただしこれ、ジョセフ・ヘラーの『キャッチ=22』から思いついた筋書きです。
 閑話休題。世間はきのうからゴールデンウィークのはずだが、ぼくの職場はこんどの火曜日から。きのうもきょうも出勤して、えらくくたびれた。おかげでろくに進んでいないが、Maria Semple の "Where'd You Go, Bernadette" をボチボチ読んでいる。
 これはまず、昨年、タイム誌の年間ベスト10小説に選ばれたとき、ユニークなカバー絵が目についた。ついで、ニューヨーク・タイムズ紙の書評家、Janet Maslin が10 Favorite Books に選出。今年に入ってから、アレックス賞を受賞。そして今回、Women's Prize for Fiction のショートリストに入選。いま検索すると、米アマゾンではレビュー数771で星4つ半と、たいへんな評判になっている。
 ……と、ここまで書いたところで急に睡魔が襲ってきた。看板に偽りありだが、もうおしまいにしよう。