ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Spinning Heart” 雑感

 アイルランドの新人作家、Donal Ryan の "The Spinning Heart" をボチボチ読んでいる。例の(どれだけ信頼できるかは疑問だが)Man Booker Prize Eligible 2013のリストで現在、第3位にランクインしている作品だ。一時は6位まで下がっていたが、いま検索すると、また人気を盛り返しているようだ。
 なにしろ新人の処女作なので、予備知識はまったくない。べつに内容も確かめなかったが、カバーがちょっと気に入ったので入手した。いわゆるジャケ買い、ぼく流に言えば「見てくれ買い」である。
 冒頭の一節はこうだ。My father still lives back the road past the weir in the cottage I was reared in. I go there every day to see is he dead and every day he lets me down. He hasn't yet missed a day of letting me down. He smiles at me; that terrible smile. He knows I'm coming to check is he dead. He knows I know he knows. He laughs his crooked laugh. I ask is he okay for everything and he only laughs. We look at each other for a while and when I can no longer stand the stench off of him, I go away. Good luck, I say, I'll see you tomorrow. You will, he says back. I know I will. (p.9) 
 このくだりを初めて読んだときは、なかなかいい感じだな、という程度の感想しか持たなかったのだが、その後の展開がわかったいまコピーしてみると、ふむ、なるほどそうか、とまたべつの感懐がわいてくる。よく練られた書き出しだ。
 上の I とは Bobby という建築作業主任で、彼がいちおう本書の主人公である。いちおう、というのは、これがいわゆる輪舞形式の長編だからだ。短い生活スケッチ風の物語が連続するうちに視点も交代。その意味ではショートショート集といってもいいくらいだが、各編とも何らかのかたちで Bobby が顔を出したり、話題になったりする。また前出のエピソードがべつの角度で述べられたり、続編が紹介されたりもする。よくあるパターンですな。
 ……中途半端ですが、ここで眠くなってきました。仕事疲れでしょう。