超多忙の毎日からようやく解放され、いままで途切れ途切れに読んでいた今年のブッカー賞候補作、Colum McCann の "TransAtlantic" に今日から本格的に取りかかった。McCann の作品を読むのはこれで3冊目である。
Colum McCann というアイルランドの若い、いい作家がいるという情報をキャッチしたのはずいぶん昔の話だが、実際に読んでみたのは4年前だ。"Let the Great World Spin" が全米図書賞を受賞したことを知り、そういえば第一短編集、"Fishing the Sloe-Black River" (93) がずっと積ん読だったな、と思い出した。中身はもうすっかり忘れてしまったが、「いい感触」だけはまだありありと残っている。当時のレビューを再録しておこう。
- 作者: Colum McCann
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つぎに読んだのが、前述の09年全米図書賞受賞作、"Let the Great World Spin"。ツインタワーの綱渡りの場面が印象ぶかかった記憶がある。
- 作者: Colum McCann
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というわけで、McCann はゴヒイキの作家といってもいいのだが、この "TransAtlantic" は、いまのところまだピンとこない……と書きかけたら、ふっと溜息をつきたくなるようなエピソードに出くわした。
巻頭、短いプロローグがあるが意味不明。きっと、あとで読みかえしたら何のことか腑に落ちるのだろう。
そのあと、どうやら2部構成のようで、第1部は3話からなる。それぞれ時代も登場人物も異なるが、共通点としては、ううむ、北米から大西洋をこえてアイルランドに渡った人間が出てくることくらいか。何やら短編集のおもむきである。
第1部第1話は、史上初の大西洋無着陸飛行の話だ。といっても、主人公は有名なリンドバーグではない。あれは単独無着陸。そういえば、そうでしたな。で、これは同じ史上初でも、ぼくもいままで知らなかったが、リンドバーグの快挙の8年前、1919年にジョン・オルコットとアーサー・ブラウンの2人が達成した無着陸飛行である。
内容にふさわしく、短いセンテンスが連続してスピーディー。緊張が高まるシーンもあるが、ま、以上の説明から想像できるとおりですな。
第2話は1845年にさかのぼり、逃亡黒人奴隷の Douglas が主人公。奴隷制廃止を訴えた著作で有名になり、アイルランドの出版社の招待で講演旅行に出かける。ちょっと眠かった。
「ふっと溜息をつきたくな」ったのはつぎの第3話だが、これから外出しないといけないので、例によって中途半端ですが、きょうはこのへんで。