ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Report from the Interior” 雑感 (2)

 きのうは職場の忘年会。その企画の一環として、団体で東京スカイスツリーの見学に出かけた。
 ふだんは団体行動の苦手なぼくだが、この機会を逃してはスカイツリーに登ることもあるまいと思って参加。じつはぼくのふるさと愛媛の宇和島近くには、高森山というスカイスツリーと同じ高さの山がある。そのことを田舎の友人に教えてもらって以来、スカイツリーにはちょっぴり親しみを覚えていた。

 とはいえ、ツアーに参加した最大の理由を大げさにいえば、ぼくの人生の地図を高所からながめてみたいと思ったからである。
 天望回廊から、350Fから、ぼくが食いいるようにながめたのは、向かって右手、池袋方面から左手、品川方面まで。手前の上野公園あたりもふくめると、ぼくの大学時代からいままでの主な事件は、だいたいそのエリアで起こっている。それをぜひ一望のもとに見わたしたい、とツアーの話を聞いたときから思っていた。
 この夏も、恵比寿ガーデンプレイスタワーの高層階にある居酒屋で、友人と一杯やりながら、おたがいの仕事や親の介護、ついでに文学のことなどを語り合ったものだ。そのとき、友人が「あ、花火」と言って、ぼくの住んでいる横浜方面を見やった瞬間がいまだに忘れられない。
 そのガーデンプレイスもぜひ、上から見おろしてみたいと思った。実際はどれがどれやらさっぱりわからなかったが、それでも大いに満足。あのとき池袋で、高田馬場で、新宿で、渋谷で、表参道で、赤坂で、神田で、根津で……などと「事件」の数々をふりかえりながら遠望すると、どれも意外に狭いエリアで起きていたことが実感でき、なんだか妙に感慨ぶかかったり拍子ぬけしたり。そんな自分の人生絵巻を俯瞰したくてスカイツリーを訪れる人も中にはいるだろうが、それほど数は多くないような気がする。
 "Report from the Interior" に話をもどそう。'your purpose is to chart the workings of your young mind, to look at yourself in isolation and explore the internal geography of your boyhood' (p.45), 'exploring the mental landscape of your boyhood' (p181) といったくだりに本書のテーマが示されているようだ。こんな本をたまたま読んでいるから、the internal and external geograpy of my life をながめたくなったのかもしれませんな。